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zoom RSS ガイコツとコンビニ

<<   作成日時 : 2011/05/26 16:36   >>

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○月×日
夜、コンビニの前を通りかかったら、ガイコツが立ち読みしていた。
あれはどっからどー見ても、ガイコツだった。
いやあの、やせ過ぎてるのをガイコツ呼ばわりしているわけじゃあなくって。
黒タイツにガイコツがプリントされたゆかいなパーティグッズを着ているわけでもなくって。
理科室に置いてあって、学校の七不思議にカウントされてそうな、リアルなガイコツだった。
怖かったので、中に入ってまで確認はしなかった。
明日もいるだろうか。

○月×日
今日も見かけた。コンビニに入っていくところだった。
店員が普通に「いらっしゃいませー」と声をかけていた。
なぜ騒ぎにならないんだ。
やっぱり怖いので店には入らなかった。

○月×日
勇気を出して、コンビニに先回りして待ちぶせしてみた。
雑誌を立ち読みしながら待っていたら、十時を過ぎたところでガイコツが来た。
店に入るとまっすぐ雑誌コーナーに来て、俺から少し離れたところで立ち読みを始めた。
何を読んでるのか気になったので、こっそりのぞいて見たらメンズファッション誌を読んでいた。
お前、男なのか。そもそも服なんかもう着ないだろ。ガイコツなんだから。
怖いのでそれ以上は長居しないで帰った。

○月×日
今日はガイコツの方が先に来て、立ち読みしていた。
主婦が読みそうな料理本を熱心に読んでいた。
後ろからそ〜っと骨ごしに見たら、「五分で簡単! 春のお弁当」の文字と、おいしそうな弁当の写真のページだった。
このガイコツは弁当を作る気なのか。誰に食わすんだ。自分で食うのか。どこ持って行くんだ。
ガイコツはその雑誌を買っていった。
店員はごく普通に接客していた。なぜ疑問に思わないんだろう。

○月×日
今日は雑誌コーナーにいなかった。
今日は来てないのかと思って探してみたら、カゴにビールと軟骨のから揚げを入れてレジに持っていくところだった。
お前、酒を飲むのか。っていうか骨が骨を食うな。それじゃ共食いだろうが。

○月×日
コンビニに入ったら雑誌コーナーに結構な人がいたので、立ち読みはやめておいた。
カップ麺を選んで時間をつぶしていたら、横から「すいません、失礼します」と声をかけられた。
邪魔になったかと思ってどいたら、そいつはガイコツだった。
物静かそうな男の声だった。もっとこう、邪悪そうなしわがれた声を出すかと思っていたので意外だった。
ガイコツは豚骨味の大盛りカップ麺を選んでいった。
これも共食いじゃなかろうか。抵抗はないんだろうか。

○月×日
今日は用事があったので、早めにコンビニに寄った。
とっとと帰ろうとパンを二つレジに持って行ったら、隣のレジでガイコツが会計中だった。
横目でそっと様子をうかがっていると、会計をすませたガイコツは、お釣りの中からいくらか募金をしていった。
……いい奴、なのか?

○月×日
店に入ったら、ガイコツが店員に道を聞いていた。
「すみません、○○駅ってここからどう行けばいいんですかね?」
お前、電車に乗るのか。ラッシュアワーの時に乗ったら、もみくちゃにされてバラバラになりそうだ。
「えーっとぉ、ここを出て、右に曲がって、ずーっとまっすぐ行って、信号のところで左に曲がって、それで……」
店員の説明がやたら長い。さては方向音痴だな。
「……あの、良かったら」
迷ったが、レジ待ちとおぼしき人がいたので簡単な地図を書いて渡した。
「いやあ、ありがとうございます」
「すみません、助かりました」
ガイコツと店員に礼を言われた。

○月×日
今日はガイコツが来る前にコンビニに着いた。
昨日の店員がいたので、ジュースをレジに持って行って、会計のついでにさりげなくガイコツのことを聞いてみた。
「きのうのお客さん、ちょっと前から見かけるようになったんですけど、最近引っ越してきたんですかねえ」
「みたいですよ。あ、そういえばお母さんが入院してて、お見舞いに行くって話をしていたような」
ガイコツに母親がいるのか。やっぱりガイコツなんだろうか。
「あの人、ちょっとやせ過ぎじゃあないですかね、なんていうか、骨? みたいな……」
「何言ってるんですか。むしろガッチリしてて、スポーツとかやってそうですよ」
ううむ、店員にはがっちりした体型の男に見えるのか。不思議だ。

○月×日
なぜガイコツがごく普通に暮らしているのかについて、仮説を立ててみた。

1.ガイコツは実は普通の人間で、どういうわけか俺にはガイコツに見えている。
2.そもそもこれは現実じゃなく、実は俺は事故で植物状態とか何かで夢を見ている。ようするに夢オチ。
3.むしろこの世界はガイコツでいっぱい。みんな洗脳されているが、俺は洗脳が解けかけている。

そこまで考えたら眠くなったので、今日はコンビニに行かないで寝た。



――次の日。
朝からドンドンと玄関のドアを叩かれて、俺は目を覚ました。
誰かと思って見に行ったら、警察官の格好をしたガイコツが二人、立っていた。
怖くなって後ずさりしたら、問答無用で車に押し込まれた。
車の中にはわけのわからない機械がたくさんあって、時々ピピピッと電子音が聞こえた。
ガイコツは俺を椅子にしばりつけ、わけのわからない四角い板のついた棒を上下にかざした。
「間違いない、こいつだ」
「うむ、どうやら怪しいやつがいると通報があって、助かった」
な、なんのこっちゃ。もしかしてこれはリアルな夢なのか。そうか、最近ガイコツを目撃しまくってるせいに違いない。
そう思っていたら、スッと誰かが目の前にやってきた。
誰かと思えばそれは、コンビニの店員だった。
店員はむんずと自分の頬をつかむと、べりべりと引っぺがし始めた。
マスクをはがしているわけじゃないことはすぐにわかった。下から、つるりとした白い骨がむき出しになったからだ。
ぎゃああああっ! ホラーだ、まるっきりホラー映画だああ!!
コンビニの店員は頭の骨をむき出しにすると、引っぺがした肉と皮を投げ捨てると、俺を見下ろした。

「まさか洗脳の解けたやつが現れるとはな」
「せ、洗脳っ?」
「お前達肉人間は、我々骨人間の奴隷なのだ。肉を身にまとったばかりに欲望に負ける宿命のお前達が、地上の真の支配者たるはずがないだろう」
「我々が管理、運営しているからこそお前達の文明は繁栄したのだ。そうでなければこんな無駄ばかりの文明など、あっという間に滅び去っていることだろう」

えっ、じゃあ、あの……俺の仮説3が、まさかの当たりってことか!?

「責任うんぬんは後ほど追及することにして、まずは洗脳のやり直しだな」
二人組のガイコツが、水鉄砲に太い針がついたような物を持ってきた。
ここに来て何をされるのかわからないほど、俺だって馬鹿じゃない。
この状況なら、何か注射されるに決まってる! 
「やっ、やめろぉ!」 
俺は縛りつけられたまま、動ける範囲でじたばたする。
「無駄な抵抗はよせ。おい、早く済ませてしまえ。報告もしなければならんのだぞ」
店員が腕時計をちらりと見た。
二人組のガイコツのうちの一人が、俺の頭をぐいっと固定する。
そしてもう一人が、俺の首に太い針を突き刺した。
首筋にズキリと痛みが走ったのを最後に――俺の意識はふっと切れた。


――……あれ。
俺は部屋の中で目を覚ました。
どうやら、机に突っ伏して寝ていたらしい。机の上にはノートが広げられている。
起き上がったところで、首に激痛が走った。
いてててっ、寝違えたか。くそっ。痛ぇ。後で肩こりの薬でも塗っとこう。
しかし、ノートに変な日記もどきなんか書いて、俺、何してたのかなあ。
そりゃ大学のレポート書きに苦戦してて、ちょっと最近追い詰められてた感はあるけど。

とりあえず、何か腹に入れよう。
俺は痛む首をもみながら、流し台の下を開けた。
確か、買っておいたカップ麺があったはずだ。
取り出してみたそれは、豚骨味の大盛りカップ麺だった。
途端、俺はぞぞぞっと寒気を覚えた。
何故かはわからないが、虫のはい回るような嫌悪感が襲ってきたのだ。
衝動のままに、カップ麺を投げ捨てる。
……どうしても、これを食べる気になれない。手に取るのもなんだか嫌だ。
変だな、俺、豚骨のラーメン大好きなんだけど。いきなり食の好みが変わったのかな。

仕方ない、時間はかかるが米を炊くとしよう。
俺はのろのろ立ち上がると、米を研ぐ作業に取り掛かった。

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