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zoom RSS 足元からの危機(二十回目)

<<   作成日時 : 2008/09/09 23:27   >>

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「ド」

オレの口から出て来た一文字に、そいつは「ド?」と首をひねった。

「ドッベルゲンガーッ!!」

今目の前にいるのは、まさしくそれだ!
それに違いない!
……どうしよう。
自分のドッベルゲンガーを見た奴は死ぬんだよな?

うわー! うわー!

「あ、悪霊退散ナンマイダブナンマイダブとっとと成仏しやがれえーっ!」

ギャースカ騒いでたら、ぐあしっと頭を掴まれた。

「落ち着け」

そいつは一応笑ってたけど、こめかみに青筋が立っていた。

「さっき説明しただろうが。人の話聞いてたか? あ?」

それから、ごほんっ、と咳ばらいをすると、

「お前は、俺の子孫で、なおかつ、俺自身の生まれ変わり。言い換えると、俺はお前にとってのご先祖様で、なおかつ、お前の前世の姿ってこと。わかったか?」

そいつは「お前」という所でオレの頭をペシペシ叩き、「俺」という所で自分を指差しながら説明してくれた。

「ご丁寧にどうもっ」

ご先祖様だか前世だか知らんが、人の頭を気安く叩くんじゃねえよ。

「んで、それが何でここにいるんだ?」

「あのなあ、お前、ここに来る直前のこと、覚えてないのか? 胸に手ぇ当てて、よーく考えてみな」

オレは取りあえず、言われた通り、胸に手を……。

ぬちゃっ。

あ……。

着ているシャツの左胸が、妙にぬめってる。
手を見てみると……真っ赤に染まっていた。

思い出した。
オレ、あのメガネ男に殴りかかって、それで……。

「今のお前、半死半生……よりもう少し死んでる状態だぞ。だからこうして俺と話せるわけ」

まあな。
左胸……っていうかたぶん心臓を狙って刺されたんだもん、命に関わるような状態にはなるわな。

「ったく、武器持ってる相手に殴りかかる奴があるか。不利にも程があるだろが。弱っちいくせして、何考えてんだ」

ため息まじりに、文吾がオレの頭をペシペシ叩く。

初めて会った、ご先祖様かつ前世の自分に説教されてるオレって……。

「ま、それは置いといて」

オレは、強引に話を変えることにした。
だって説教嫌いだもん。

「お前のこと、何て呼んだら良いんだ?」

「ん〜? 生きてた時は文吾(ぶんご)っていう名前だったから……」

「んじゃ、ブンちゃん」

「却下!」

提案したら、スペンッと頭をはたかれた。

手の早い奴だな、もう。

「文吾って呼べ」

「へ〜い」

そいつ……文吾は、いきなり真面目くさった顔つきになった。

「……このままだと、お前、死ぬなあ」

「ああ、お前がポコスカ頭叩くからだろ」

「違うっつうの。出血がひどいんだよ。見てみ」

文吾の視線につられて自分のシャツを見ると、ダラダラ流れる血が、足を伝って小さく血だまりを作ってた。

「うわー……」

人間って、確か体重の三分のニの血を流すと、死ぬんだよな。
あれ、三分の一か?
それとも三十パーセントだったか?

……どのみち、無事で済みそうにない量の血だった。

「……お前、このまま死んだらどうだ」

「へ?」

唐突に、文吾が言い出した。

「お、おい。何だその冗談。つまらねえのを通り越して、笑えねえぞ」

オレは、やや引きつりながらも笑ってみせた。
だけど文吾は、「なんてな〜」とか言って笑い返すどころか、ますます真剣な顔つきになった。

「お前、ここで死んどけ。その方が良い」

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ご先祖様の名前がいいですね。いかにも、て感じ。頼もしいけど冗談が通じなさそう。硬派なのかな。
つる
2008/09/10 23:26
昔っぽさを思わせるような名前〜名前〜と考えていて、ふっと思いついた名前をそのまま使いました。
きっと何か元ネタがあるはず。
小崎くんの前世の姿でもあるというのに、性格は全然違いますね。
小崎くんは頼りないですが、冗談とかが好きそう。
鈴藤 由愛
2008/09/11 00:02
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