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zoom RSS あたしと魔法の皿〜豪邸に住みたいぞ、編〜

<<   作成日時 : 2008/04/29 21:45   >>

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家の食器棚を整理していたら、奥から汚い皿が出て来た。
茶色い汚れがべったり張り付いていて、正直あまり触りたくない。

でも、手頃な大きさで重宝しそう。
捨てるなんて、ちょっともったいない。

あたしは、取りあえずつけ置きしようと流し台の前に立ってから、こないだとある店のオープン記念にもらった粗品のことを思い出した。

確か、水だけで頑固な汚れもよく落ちる、というスポンジみたいなやつだ。

いい機会だ、使ってやろう。

ポンジを濡らして軽く絞ってからこすってみる。

すると、ぺったり張り付いていた茶色い汚れが取れてきた。

すごいなあ、現代の科学。

ひそかに感動していたら、いきなり、もくもくもくもくと白い煙が立ち上った。

えっ? 何よ、火事?

驚いて動けずにいると、煙の中から大男が現れた。

「お呼びでございますか、ご主人様」

大男は、あたしに向かってうやうやしくお辞儀をする。

「あ、あんた誰よっ」

「私は皿の魔神でございます。何なりとご用をお申しつけください」

……開いた口がふさがらない。

皿の魔神って。
アラビアンナイトに出て来るランプの魔神じゃあるまいし。

でも、願い事をかなえてくれるみたいだし……。

「ねえ、どんな願い事でも叶えてくれるの?」

あたしは試しに聞いてみた。

「もちろんでございます」

それじゃあ早速、願い事を叶えてもらおうじゃないの。

「じゃあ、あたしを豪邸に住まわせて」

笑いたい奴は笑え。
上下左右の住人との関係気にしつつ、いつまでもいつまでも1Kのマンション住まいだなんて、正直やってられないんだから。
「あんたの部屋がうるさくて寝られないよ!」なんて濡れ衣着せられたり、どっかの部屋から聞きたくもない、カップルのいちゃつく声がしたりするし……。

「お安い御用です」

突然、ばふん、と煙が全身を覆った。
あまりに煙が濃いので、しばらくは何も見えなかった。

やがて、煙が薄くなってくると、今までいたのとは違う、畳を敷きつめた広ーい和室の中にいるのがわかった。
掛け軸や高そうな壷、刀まで飾られてる。

「うわあ……」

あたしがイメージしていたのは洋風の豪邸だったけど、こういう和風の豪邸もいいなあ。

「この国での豪邸というと、こんな様式の物しかわからなかったのですけど……」

「ちょっとイメージと違うけど、これはこれで気に入ったわ。ありがと」

あたしは、何気なく窓の外を見た。
街の景色が、下の方に見える。
ずいぶん、高い位置にいるんだなあ。

……何だか、いやな予感がする。

あたしは階段を駆け降りて外に出ると、新たな住まいとなった建物を見上げた。

ああ、何て事だ。
あたしは、くらりとめまいがした。

魔神が豪邸として提供したのは……名古屋城のような、それはそれは立派なお城だった。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
これはなかなかいいんじゃないですか(笑)時代劇のロケなどに使ってもらって、お金も稼げそう。
ia.
2008/04/29 23:46
感想ありがとうございます。

魔神がどれだけ日本の事を理解してるんだろうね、というところから始まりまして、現代には疎いかもということにしてみました。

ロケに使ってもらう他、観光名所として開放して入場料をかせぐのもアリですよね。

よろしければ、またおいで下さいませ。
鈴藤由愛
2008/04/30 23:02
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