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<<   作成日時 : 2007/03/18 23:43   >>

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照りつける太陽の下で、私は、砂浜を歩いていた。
見上げれば雲一つない青空。
寄せては返す波の音と、私が砂を踏む音以外、ここには余計な音がない。

誰かが聞いたら、羨ましがるかもしれない空間。

しかし、私は好き好んでこんな所にいるのではない。
チャンスさえあれば、こんなところ、さっさとオサラバしてやる。
――未だに、そのチャンスは巡って来ないが。


時折、水平線に視線を送りながら砂浜を歩いていると、キラッと光るものが目に入った。
急いで近寄ると、それがガラスの瓶であることがわかった。
手の平に乗るほどの小さな瓶で、瓶の口にはコルクの栓がされている。
それが、波にもて遊ばれながら、波打ち際を転がっている。
……中に何か入っている。
私は、ガラス瓶を拾いあげた。
中に入っているのは……筒状に丸められた紙だ。

ははあ。これは、メッセージボトルというやつだな。

私はコルクの栓を抜き、中の紙を取り出した。
広げてみると、短い文章がつづられていた。


『乗っていた飛行機の事故で海に投げ出され、無人島に流れ着きました。助けてください』


……私は、紙を元通りに筒状に丸め、ボトルに戻した。
そして、海原に向かって放り投げた。

まったく、このメッセージボトルを流した人物に同情してしまう。
哀れなことこの上ない。

私では、助けてやれないのだから。


私は、友人と船で沖釣りに出かけ、その船が高波で転覆し、気が付いたらこの砂浜にいた。
陸地だと思って喜んだのも束の間、少し歩いてみてここが無人島とわかった。
どこかの物好きな金持ちが、別荘を建てていたりしないかと探してもみたが、流れつくゴミ以外に文明的な香りのするものはなかった。

それからは、流れついた容器に雨水をため、流れつく海草を拾って食べ、通りがかる船や上空を飛ぶヘリコプターはないかとウロウロと砂浜に出てさまよう日々だ。


私は、ぼんやりと、ボトルを流した人物に思いをはせた。

その人物は、私のように、たった一人で救助を待っているのだろうか?
それとも、何人かと一緒に救助を待っていて、代表として手紙を書いたのだろうか?

……いずれにしても。

助けて欲しいのは、私の方だって同じなのだ。

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