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zoom RSS 異星人はかく語りき

<<   作成日時 : 2007/01/21 22:10   >>

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俺は、調査のために地球に派遣された異星人である。
地球人が普段何をし、何を食べ、何を思って生活しているかを密かに調べ、本星にデータを送るのだ。

それは地球が発見された翌年には開始された活動であり、俺の他、既に何人ものメンバーが派遣されている。
街中でばったり会った時には軽くアイサツをするのだが……中には、ちゃっかり恋人を作っている不届きものもいた。
仲間とデキているならまだしも、地球生まれとデキているやつもいるのだ。
本星のお偉方にバレたら、大問題になるだろう。

まあ、地球にも魅力的なヤツはいるので、お近付きになりたい気持ちはわからないでもないが……。

そんなわけで、地球に来ているメンバー間では、お互いそういう面には目をつぶるようになっていた。
けしからんこととはわかっているが、そこんところは、生き物である以上、やっぱ、どうしようもない。

それはさておき。

俺が現在データを集めているのは、大都市の一般的な食糧事情だ。
彼らが食べているものを知るために、ゴミをあさるのだ。
各家庭で出したゴミの袋を、誰もいない時を見計らい、俺はあさる。
ハタから見たら、ひどく惨めな姿だろう。
しかし、そんなことは構っていられないのだ。
俺には、果たすべき任務があるのだから。

今現在の調査結果によれば、地球の大都市ではロクな物を食べていないようだ。
あさるゴミの大半は、何かが入っていた容器ばかりなのだ。
いわゆる、生ゴミというものはあまり見かけない。
別の調査報告によれば、こんな食生活が広まったのはほんの数十年前だそうだが……。
俺は以前、調査のために、住居に侵入して地球人の食べているものを一口食べてみたことがあるが、薬品の味ばかりがして、とても食べられたものではなかった。

あんなものを、本当に日常的に食べているのだろうか。
体はおかしくならないのだろうか。
俺は、あの後体調を崩してしまったものだが。

「こらぁ! 何あさってんだこの野郎!」

おっと、見つかった。
こういう時は逃げるに限る。
俺は、全速力で逃げ出した。
あっちはまだ何か罵声を浴びせているらしかったが、俺の耳には届かなかった。

走って走って、たどり着いたのは、公園だった。
人目につかないよう、俺は茂みに身を潜める。
……はあ、やっと落ちつける。
俺は、一息をつくことにした。
緑の匂いをかいでいると、気持ちが落ち着く。
この星と、俺の本星との共通点は、緑が美しい点だ。
ただ、この星の緑は恐ろしい勢いで失われている、というところが唯一の違いである。

……お。

視線を動かすと、ゴミ箱が目に付いた。
これは調査しなければなるまい。

俺は、たちまち任務をこなす顔つきになると、茂みの中から這い出して、ゴミ箱に近付いた。

――途端、にゅっと手が伸びてきて、乱暴に俺の体を捕まえた。

クソッ! 敵か!?

逃げようともがいても、ソイツは恐ろしい力で俺を捕まえていて、どうしても逃げられなかった。

誰か助けてくれ! 俺は一体何をされるんだ!?

俺を捕まえたヤツは、辺りをキョロキョロすると、大きく口を開けた。

「ママ〜! ネコちゃんがいるよ〜!」

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