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zoom RSS 足元からの危機

<<   作成日時 : 2007/01/24 22:41   >>

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バイトの帰り道で、気になるものを見つけた。

アスファルトに、指先ほどの大きさの穴が開いているのだ。
雑草が突き破ったのかと思ったが、どうもそんな様子はない。
近付いて見ると、穴の中でちらちらと動くものが見えた。

……何だろうか。

気になったので、周りに人がいないのを確認すると、俺は四つん這いの格好になって穴の中を覗いてみた。
片目でピントを合わせると、西洋の城の中みたいな場所が見えた。
中世の騎士みたいな鎧をつけたやつが何人かいて、奥の方では金ピカな鎧と白いマントをつけた男が立派な椅子に座っている。
なんつーか、王様とか皇帝とか、そんな雰囲気だ。
現に、金ピカなやつに対して、他のやつは片ひざをついている。

「陛下、地上への兵の配置、完了しました」
「うむ……地上の人間達には気付かれていないだろうな?」
「勿論でございます。あとはご命令頂ければ、いつでも侵略を開始できます」
「そうか。よくやってくれた」
「ははっ」

聞き耳を立てると、そんなことを話していた。
……これはもしや、地球の危機だろうか。
兵だの侵略だのと、何やら物騒なことを言っているし……。

その時、不意に一人がこっちを見た。

「陛下、少々失礼いたします」

言うなり、そいつは俺の方にツカツカと近寄って来ると、デカくてゴツい手をぬっと伸ばした。
そして……

「んぎゃあああ!」

目が……目がぁー!

こんなことってあるんだろうか。
穴から指が出てきて、俺に目つぶしを食らわせたのだ。
俺は、片目を押さえてひっくり返った。
目つぶしとは言っても、眼球をつつかれただけなのだが、痛いものは痛い。
涙がドバドバ溢れてくる。

「一体どうしたと言うのだ?」
「陛下、地上の人間がスパイを送り込んでいた模様です」
「何っ、連中め、こしゃくな!」
「申し訳ありません。我々よりも文明が低いと思って、油断しておりました」
「……もはや容赦はせぬ。総力をもって地上の軍隊のことごとくを叩くのだ」
「はっ。仰せの通りに」
「我らが一族の悲願を、今こそ叶えるのだ!」
「地下帝国に栄光あれ!」


痛さで転げ回る俺は、足元で急速に進む世界危機に気付かなかった。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
これ、続き物ショートショートだったら面白いな。
S.H.
2007/01/26 21:26
感想ありがとうございます。
続き物……「思いついたら書く」性格なもので、今のところ考えてないんですが、まあ、書けたらということで。
鈴藤 由愛
2007/01/27 23:11
足元からの危機 プラスマイナス1/BIGLOBEウェブリブログ
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