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zoom RSS ○○○のタルメアスープ

<<   作成日時 : 2016/06/12 13:59   >>

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「それでは今日のお料理のコーナーです。先生、よろしくお願いします」
「はい、どうも」
「先生、今日は何を作るんでしょうか」
「今日は寒い時期にぴったりの、芽キャベツを使ったおいしいタルメアスープを作ります」
「まあ、これは楽しみですね!」

「まずは芽キャベツです」
「わあ、芽キャベツ。今が旬の食材ですね」
「そうですね。旬の物はやはりおいしいですし、栄養もありますからね。では材料の紹介を続けていきます。にんじん、じゃがいも、玉ねぎ……」
「各、中ぐらいの物を一つずつですね」

「レタス、ハム、食パン、マヨネーズ、インスタントコーヒー、ミルク、砂糖……」
「先生、先生」
「何です」
「普通では考えられないような材料が出てきましたが」
「これは具材ではなく、出汁を取るための物です。お肉になった物が元々食べていた物で出汁を取ると、お肉の味が引き立つんですよ」
「はあ」
「まあ、これらは手に入らない場合は省いてもかまいませんので。あくまでもお好みで、という範囲です。市販の出汁入りのタルメアソースもありますし、それでも充分美味しくできますよ」
「そ、そうですか」
「次に鍋にカップ三杯分の水を入れまして、沸騰させます。沸騰したら先ほどのお出汁の材料をパックに入れて、投入します」
「こちらにすでに沸騰した物があります」
「はい。ではここへ投入っと」

「お出汁を取っている間に、下ごしらえに入りましょう。芽キャベツはこの通り、一口でいただける大きさですので洗ってそのまま。にんじんやたまねぎは一口大で」
「はい。こちらはあらかじめ用意した物です」
「さあ、肉団子を作りましょう。まずはこのお肉をミキサーにかけて……」

ギャーダレカタスケテーオレナンカクッテモウマクナイゾー!

バガン!

ギャア!

「せ、先生、今お肉が」
「ほほほ、新鮮な証拠ですよ。こうやって頭をぶっ叩いておけば気絶して、鮮度が保てますからね。では調理を続けますね」
「はあ」
「お肉はミキサーにかけて、ミンチにしましょう」

バリバリバリ、ガリゴリガリ、メキメキブチッ

「ちょっと大きいお肉ですが、ふたさえ閉まれば大丈夫。あとはミキサーに頑張ってもらいましょう」
「ミキサー、頑張ってますねえ。不安になるほど揺れていますよ」
「大丈夫、壊れたりしませんから。さて、ミキサーにかけている間に……じゃーん!」 
「あらまた新しいお肉が」

「今回は特別に、肉好きさん向けということで肉団子の他にもお肉を追加します」
「先生、おもむろに縄でぐるぐる巻きにし始めましたが……」
「こちらは気絶させずに使いますから、ほどいちゃだめですよ。生きているうちに入れると、お肉が固くならずにおいしいんですよ」
「おや先生、その道具は」
「毛を取り除く専用のピーラーです。昔は毛抜きで一本一本、ていねいにむしったものですよ。そうそう、間違えて眼球や耳をむしったしまわないように気をつけて。美味しいところですからね」

イダイッイダイイダイ!!

「こうして毛を取り除いてからお鍋に入れましょう。縛ってあっても暴れるので、入れたらすぐにふたをしてください」
「わあ、これは緊張しますね」
「せえのっ」

ギャアアアアアッッアツイアツイッウアアアア!

ガタガタゴトゴト、ガタン!

「ほほほ、活きが良いこと。あとは物音がしなくなるまでおよそ一時間、このまま煮込みましょう」
「ということで、こちらに一時間煮込んだ物が用意してあります」

カメラが別の鍋を映し出す。鍋のふちからは紫色の液体が垂れ落ちていた。

「はい、こちらが煮込み終わった後のものです」
「では火を止めて、タルメアソースを溶かします。溶かした後は煮立たせないようにして下さいね。風味が飛んじゃいますから」
「うーん、おいしそうな香りがしますねえ」
「味見をしましょう。小皿に取って……さあどうぞ」
「……おいしい! いやあ、鍋の中で暴れ出した時はどうなるかと思いましたが、手間をかけるとひと味違いますね」
「やはりお肉は新鮮な物に限りますからね」
「ではこちらの器に盛り付けて……」
「お子様向けにするのでしたら、さらにお肉を増やすと喜ばれるんじゃないでしょうか。今日はデレラ麦のパンを添えてみました。ムロロのバター炊きもよく合いますよ」
「はい、ということで地球人のタルメアスープ、完成です!」

料理人とアシスタントが小さく拍手をすると、料理の盛り付けられた皿が大映しになった。
毒々しい紫色のスープの中に野菜と、骨のかけらがブツブツと見える肉団子、太った腹を上にした人間が浮いている。

「……ディレクタ−、こんなメニュー大丈夫ですかね。地球人って、今度の宇宙会議で保護対象になるかもって聞いたンすけど」
「まだなってないからいけるでしょ。店でも売ってるし」
「苦情来ないといいンすけどね」

撮影スタジオの一角で、そんなひそひそ声でのやりとりが行われる中。

「来週は火星人のソテーをお送りします」
「これはお酒にもよく合う一品なんですよ」
「ではまた次回」

軽快なテーマソングとともに、料理人とアシスタントが長い首の先についた頭を下げる。
地球から何百光年も離れた惑星の、料理番組の撮影現場だった。

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