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zoom RSS 悪魔ハ実在スルカ?

<<   作成日時 : 2014/12/06 14:50   >>

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夕焼けの迫る時間に、一人の男の子が道路端のブロックに座り込んでシクシクと泣いていた。
人通りはなく、男の子が泣いている様子を気にする大人はいない。

「どうしよう、どうしよう」

男の子はしゃくりあげながら、そうつぶやくばかりだった。

「どうしたんだい」

そこへ、誰かが声をかけてきた。
男の子が顔を上げると、学生服を着た少年が立っていた。
その制服は進学校として全国的に名を知られた学校の物で、少年はちょっと気後れした。

「どうして泣いているの。誰かにいじめられたのかな?」

学生服の少年は穏やかな表情と優しい声で尋ねてくる。
全然知らない人なのに、男の子は不思議と心を開きたくなった。

「ぼく、このままだと嘘つきって言われちゃうんです」

男の子は涙でぐしゃぐしゃの顔を少年に向けた。

「どうして嘘つきになっちゃうの?」
「さっき、みんなと秘密基地で遊んでて……悪魔が本当にいるかどうかって話になって……」
「へえ」
「ぼくだけ、本当にいるって言っちゃったんです。それでみんなに『変だ』って、『いるわけない』って笑われて……すごく頭にきて、それなら連れてきてやるって言っちゃったんです」

どうやら勢いに任せて言ったため、引っ込みがつかなくなってしまったようだ。

「でも、悪魔なんて本当にいるわけないのに……ぼく、なんであんなこと言ったんだろう」

男の子はしゅんとして、うつむいた。

「大丈夫だよ」

そんな男の子の頭に、少年がぽすんと手を乗せた。

「えっ」

驚いた男の子が見上げると、少年はにこりと微笑みを返した。

「悪魔は本当にいるからね。何なら、僕が会わせてあげようか」
「そんなことできるんですか!?」
「できるよ。だから友達の所へ連れて行ってくれるかな」

男の子はちょっと迷った。
秘密基地はその名の通り秘密の場所で、他の奴を入れてはいけない決まりだったからだ。
でも……と男の子は少年を見上げる。
自分のピンチを助けてくれる人。それに怖い人や乱暴者というわけではなさそうだし、連れて行ったっていいだろう。

「うん、じゃあついて来て!」

男の子はもう泣いてなどいなかった。
それどころか救いの主を見つけたと、目をきらきらさせていた。
無理もない。これで嘘つき呼ばわりされずに済むのだから。

男の子は少年を秘密基地まで連れてくると、「連れてきたよ!」とみんなに声をかけた。
秘密基地は雑木林の中の、立ち入り禁止と書かれた札の付いたロープの向こうにあった。
木にひもを巻き付けてその間に吊ったビニールシートの下に、机代わりのさびたドラム缶や椅子代わりの古タイヤなどが置かれている。

「なんだよ、そいつが悪魔なのかぁ?」

メンバーの一人がそう言ってからかうと、周りの連中が一斉にゲラゲラと笑い出した。

「ちがうよ! このお兄さんが悪魔に会わせてくれるって……!」

男の子は助けを求めるように少年を見上げた。
悪魔に会わせてくれるというが、彼は一体何をどうするつもりなのだろう。

「こんにちは。君達が悪魔に会いたがってるって聞いて、この子に連れて来てもらったんだ」

少年は学生服のポケットに手を突っ込み、何かを取り出した。

「じゃあ、早速だけど……今から会わせてあげるよ」

男の子は見た。
少年の穏やかそうな顔が、一転して凶暴な人間の浮かべる凄惨な笑みに変わる瞬間を。
彼がポケットから取り出した物の正体を。
それは、折り畳み式のナイフだった。

「どうして、そんな物を」

男の子が最後まで言い終える前に、少年のナイフが振りかざされた。
ナイフは最初に太ももをぐさりと突き刺し、次いで腹を切りつける。

「うわああっ、痛い、痛ああい、痛いよおお!」

男の子が悲鳴を上げ、周りの子供達が驚きと恐怖で硬直し、あるいは逃げ出そうとした。
少年はそんな子供達を恐ろしいスピードで次々と捕えては、ナイフで突き刺していった。
だがまだ、その段階では誰も死んではいなかった。
刺された痛みとショックで動けなくなった子供達が泣き、うめいているのを確かめてから、少年は一人ずつ、ナイフで体をえぐっていった。

――その場にいた子供達は、誰一人知らない。
自分達が最初の被害者ではなく、また、最後の被害者でもないことを。
そしてこの事件が世間に知られた時、犯人である少年が『悪魔』と呼ばれて恐ろしがられることも。

悪魔は確かに子供達の前に姿を現したのだ。

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