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zoom RSS いばら姫の事情

<<   作成日時 : 2011/06/30 22:29   >>

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ふああ……。
おはよう、今日は何月何日かしら?
えっ! もうそんなに時間経ってるの!?
月日の経つのは早いわねえ。
まるでおばあさんになった気分だわ。
年だけならおっそろしくオババ級だから、しょうがないか。

ああ、はいはい。わかってる。ちゃんと起きるってば。
八十年も寝てたんだから、すぐには動けないわよ。
頭はばっちり起きてんだけどね、体がまだ寝てる感じなの。
うう、足がしびれてる……ちょっと待って、うんしょっ。
いや、急げって言われても。
え、いや、何すんの、きゃあ!
ちょっと、人を担いでいくなんてどういうつもりよ!
せめて抱っこにしてよ、かっこ悪いじゃないのー!

……はあ、まったくもう。
いくら急いでるからって、担いでいくことないじゃない。
あんたねえ、私は荷物じゃないのよ。
腐ってもお姫様よ、お・ひ・め・さ・ま!
ちがーう! おひな様じゃないっ!
プリンセスよプリンセス!
わかってるなら、もう少しそれ相応の扱いってものをしてよねっ。
今はいい今は! 次から気をつけてって言ってるの!
いきなりひざまづかないでよ、びっくりするじゃないの。

で、今度は私に何をしろって?
まあ、想像はつくけどね。
私が起こされる理由なんて、決まってるもの。

もう何百年前になるかしらね。
お父様が私の誕生記念パーティで、うっかり魔女を一人呼び忘れちゃったの。
そのせいで呪われちゃうなんて、冗談じゃないわよ。
まあ、その後に出てきた魔女が呪いをやわらげてくれたから、眠りに落ちるだけで済んだけど。
でもさあ、糸つむぎ機の針に指を刺されて死ぬって、一体どういう呪いよ?
そもそも普通、お姫様は糸つむぎしないわよ?
聞いたことないわよ、糸つむぎ大好きなお姫様の話とか。

なのにお父様ったら国中の糸つむぎ機を壊させるんだから、親バカだわ。
でも結局、お城の塔のてっぺんで、魔女にだまされて糸つむぎ機の針に指刺されちゃったけどね、えへ。
はいはい私はバカですよ、えーえーバカですよ。
だって、興味わいちゃったんだもん。見たことなかったし。

さて、そろそろ仕事に取り掛かりますか。
うん、この地図の街を、ぐるーっといばらで囲んじゃえばいいのね。
ところでこの街はどうしたの? えっ、敵が攻めてくる?
また戦争かあ。相変わらずなのね、世間って。
眠っている間にいばらを自在に扱えるようになってるなんて、我ながら驚きよね。
まあ今は、この能力のおかげで、いばらで囲んで色んなものを守ってあげられるんだけど。

はーあ、しかし不幸だわ。
本当だったら王子様のキスで目を覚ますはずだったのに、あんたに起こされるなんて。
それも、旅の途中で寝る場所を求めて城に入ってきた、一般庶民のあんたなんかに。
え? 不老不死の人間は一般庶民って言わない? 何よ、身分は一般庶民じゃないの。
その上キスどころか、投げた荷物がお腹の上に落ちてきて、目が覚めたのよ。
不完全な変な目覚めだったから、おかげで中途半端な呪いの解け方しちゃったじゃないの。
お城は相変わらずいばらで囲まれてるし、お城の人は私以外だーれも起きやしないし。
どうしてくれるの、一体。

最悪。思い出したら腹立ってきた。とりあえず一発殴らせなさい。
いくら寝る場所に困ってるからって、いばらで取り囲まれてる城に入ろうなんて思う? 普通。
不老不死ならその辺で寝っ転がってなさいよ!
え? 不老不死でもカゼを引くの? ……ふーん。

あーあーあーもう、うるさいうるさいうるさいうるさーいっ!
誰があんたの心配なんかするもんですか!
仕事はもう終わったでしょ、とっとと帰って!
私、また寝なくちゃいけないんだからねっ。
誰かさんのせいで中途半端な呪いの解け方しちゃったから、いまだに長いこと寝ないといけないのよっ。
はいはいさよなら、あーあ、いつになったら王子様、来てくれるんだろ!



……でも、もし王子様が来たら……。
な、何も言ってないわよ、とっとと出てけ、このバカ!

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