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zoom RSS サンタ、やめます。

<<   作成日時 : 2010/12/18 15:09   >>

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拝啓 世界サンタクロース協会様

私、八十三代目サンタクロースは、この度辞職させていただきます。
仕事に対する協会の姿勢に疑問があり、不信感を拭えないのです。

サンタクロースの精神とも呼ぶべき聖ニコラウスの逸話に感銘を受け、サンタクロースに志願してから数十年。
八十三代目として任命されたあの時、私は燃えていました。
サンタクロースの仕事とは、恵まれない境遇の中で苦しむ子供達の心に、小さな明かりをともす仕事ととらえていたのです。
プレゼントを通して、誰かが自分を気遣っている、見守っているのだと伝えられたなら、どんなに素晴らしいだろう。
誰かに思いやりの気持ちを示してもらえた子供は、将来どんなに辛いことがあったとしても、人生を投げ出したりしない――私はそう信じていました。

ですが、現実はどうでしょうか。
協会はクリスマスを経済活動としてとらえ、ケーキを売るためのお菓子業界や七面鳥を売るための食肉業界、プレゼントとなるおもちゃや本の業界など、様々な業界団体と癒着しています。
また、協会の運営は、サンタクロースを派遣してもらいたいという各国からの「協会費」なる献金でまかなわれています。
いいえ、その点に関してはまだ納得できるのです。
この消費社会、子供達のプレゼントを調達する金が必要なのは事実ですし、そうした経済活動を循環させることで人々の暮らしが成り立つのですから。

私が本当に我慢ならないのは、職務に制限があることなのです。

サンタクロースの本来の職務は、恵まれない環境にある子供達にプレゼントを贈ることのはずです。
そこに意義があるはずです。

それなのに、私は飢えて死にそうな子供にケーキの一切れを渡しに行くこともできません。
裸足で寒さに震える子供に、靴の一足、セーターの一枚持たせてやることもできません。
紛争で悲惨な目にあっている子供達に、心のなぐさめになるおもちゃをあげることもできません。
いいえ、おもちゃどころか、子供たちが求めているだろう薬や、勉強の道具を運んでやることすらできないのです。
平和な国の、もう充分恵まれている子供達に配るプレゼントはあるというのに!

それは何故か。許可が降りないからです。

以前、私は許可を求め、却下されました。
理由を求めた私に与えられた回答は、「危険地帯のため、サンタクロースの安全を考慮している」「協会に加盟しておらず、協会費も納めていない国にまでプレゼントを贈る余裕はない」「薬を贈るのは医療行為に抵触し、プレゼントの分を超えている」というものでした。

私は失望しました。
サンタクロースとはこんなものなのですね。
これでは単なるプレゼントの配達人ではありませんか。

私の辞職に差し当たり、次のサンタクロースの推薦、及び指名は致しません。
どうぞ、貴協会の理想にかなうサンタクロースをお選び下さい。

最後に一言、申し上げておきます。
サンタクロースが誰のために存在するのか、その点をもう一度よくお考え下さいますよう。


八十三代目サンタクロース

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
考えさせられるお話ですねぇ。
クリスマスって平和なイメージでロマンチックで素敵なんですけど、地球上には浮かれていられない国や民族がたくさんいるんですよね。目を覆っていてはいけない大切なことだと思います。
かくいう僕も、隣の家のマサト君が僕のプレゼントの数倍高い『大回転ロボ』を貰っているのを見て、サンタクロースを呪った記憶があります(笑)

鈴藤さん、お知らせありがとうございました。クリスマス競作ブログ、今ではもう覗く方も少ないですけど、とりあえずリンクを貼りました。
矢菱虎犇
2011/01/05 11:56
リンクありがとうございました。
我ながら、お祝い気分をぶっ飛ばす重いクリスマス創作です(汗
いつだったか「サンタクロースって本当にいるんでしょうか」という少女の質問の話を聞いた時、ふと思ったことを書いてみただけなんですがね。
本当にいるんだったら、もっと他にプレゼント配りに行くべきところがあるだろうおお!と。

なんですか、その「大回転ロボ」ってステキなネーミングのおもちゃは。
正体が気になって仕方ないんですが。
縦回転かしら、横回転かしら(そこ?)
鈴藤 由愛
2011/01/05 14:00
クリスマス競作企画が終わったと思って寂しがっていたんですけど、終わってなかったっすね!
やったぜ。
しかも、ずいぶん深刻なサンタじゃないですかあ!
このギャップが笑えますね。
83代目ってのが、リアルさあります。
メリークリスマス!(遅!)
ヴァッキーノ
2011/01/06 18:05
まだだ、まだ終わらんよ、クリスマスは……!
祝いたくなったらいつでも祝ってやるさ、クリスマスをな。
クリスマスはいつだって、僕らの心の中にいるんだ!
……この辺にしときますか。

メリークリスマス、今年の分を早めに言っといたと思えば良いのです。

八十三代目という数字は何となく選びました。
このテの数って、キリがいいとリアルさが薄れますよね、なんか。
鈴藤 由愛
2011/01/06 20:22
え〜と メリークリスマス!
で、あけましておめでとうございます。
舞さんの競作企画のときにお邪魔いたしましたもぐらと申します。
覚えてないよね。( ;^^)ヘ..
このお話、現実にありそうですね。
今の現実の世界では何かがおかしいと思います。
そういう気持ちを運んでくれたサンタさんです。
ありがとうございました。


もぐら
2011/01/08 17:31
メリクリ&あけおめ。ダブルでめでたい!
おお、以前にもおいでいただいていたとは!
……すんません今チェックしてくるまでわかりませんでした(汗
当方、自ブログ引きこもり野郎なもので。いやはや。

ええ、これを書いてるときは私もそう思ってたんですよ。「本当にプレゼントが必要な子は他にもいるだろう」って。<今の現実の世界
でも、最近タイガーマスクなる人からのランドセルプレゼントが相次いでますよね。
なんで、同じことを思ってる人が世の中たくさんいるのかなあ、と勝手にしみじみしているところです。
……ちゃんと人数分あるといいんだけど、どうなんだろう。
鈴藤 由愛
2011/01/08 21:34
サンタ、やめます。 プラスマイナス1/BIGLOBEウェブリブログ
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