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zoom RSS 足元からの危機(十八回目)

<<   作成日時 : 2008/09/07 20:36   >>

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「話す必要はない」

お?

話そうとしたところへ、メガネ男が口をはさんできた。

「もう少し使う予定だったが、まあいい。後は私がやる」

メガネ男が、さらに妙なことを言い出す。

……誰が、何を使うんだ?

内心首を傾げていると、メガネ男がスッと動いた。

「何をする!?」

――若桃の、驚いた声。

メガネ男が、どこから取り出したのか、若桃の喉元に剣を突き付けていた。

そこだけ、鎧に守られてない。
ハイネックみたいな服が見えてるけど、鎧の部分に比べりゃ防御力なんて無いに等しいだろう。

い、一体何がどうなってんだ?
何でいきなりこんなことになってんだ?
だってこいつ、若桃の部下なんだろ?
なのに、何で今、若桃に剣を向けてるんだ?

オレの頭の中が、あっという間に?マークで埋め尽くされる。

「話し合いに持ちこまれては困るんだよ……万が一にでも説得されて、作戦を中止するなんて言われるわけにはいかないからな」

メガネ男、口調変わってるし。

「おい、お前、若桃の部下なんだろ。何でそんな事するんだよ?」

事態が飲みこめなくて疑問をぶつけると、

「部下だと……? ハッ、笑わせるな!」

メガネ男が、ギンッとオレを見据えた。

ひいっ。
目だけで威圧されるぅ!

「あるじ、立て」

タマちゃんが、オレをかばうようにして前に立つ。

「座っている場合ではなさそうだ」

「お……おう」

オレは、こそこそと立ち上がろうてして……メガネ男ににらまれて、片ヒザ立てた状態で固まった。

「私は鬼族の首領だ。人間を蹂躙するつもりはあれど、その下につくつもりなどない」

「で、でも今まで……」

「利用していた、ってことよ」

オカマが、苦々しい顔で呟いた。

「鬼達の最終目標は、地上世界の支配よ。若桃様を代表に仕立て上げて、地上世界を侵略するっていう手はずだったんでしょ。あくまでも、侵略が成功するまでの間だけど」

そうでしょ? とオカマがメガネ男をにらむ。

「作戦が失敗した時は若桃様に全責任をなすりつけ、死んでもらう。鬼達は盲目的に命令に従っただけで、全ての非は彼にある……そう主張する。成功した場合はもう用済みだから、始末しちゃう……初めから、そのつもりだったのよ、こいつは」

オカマは、吐き捨てるように呟いた。
顔に、嫌悪感がはっきり出てる。

……そういえば。

オレは、教室でメガネ男に痛めつけられた時の事を思い出した。

そういえばあいつ、オレに「どこの勢力のスパイか」とは聞いたけど……若桃の部下なら、忠誠を誓っているなら、違うことを聞いたんじゃないだろうか。

例えば――若桃様を暗殺するつもりだったのか、とか。

「余を……あざむいたのか、鬼の首領」

若桃の声が、力なく紡がれる。

「信じていたのに……鬼達だけが、余の苦しみを唯一理解してくれると、信じていたのに……」

裏切られたショックのせいか、若桃は椅子の上でうなだれながら、「信じていたのに」と力無く繰り返していた。

「だまされる方が悪いのさ」

そんな若桃に、クツクツと喉の奥で笑いながら、メガネ男が剣の刃先をさらに押しつける。
オレは、自分がそうされてるみたいな気持ちになって、喉を押さえた。

「若桃様、これで目が覚めたでしょ。しょせん、鬼は鬼なのよ。人間とは根本的に違うの……何度言ってもわかって下さらなかった、かわいそうな若桃様……」

言ってることは辛辣だが、オカマは悲しそうに目を伏せていた。

騙されて利用されてたのか、若桃……。

オレの中で、メガネ男への怒りがこみ上げてきた。

人間の弱みにつけこみやがって。
うわべだけの忠誠心を見せながら、さんざん利用して、悪さをさせて。
そしてあっさり、捨てやがって。

道具みたいに。
――まるっきり、道具みたいに!

「あるじっ!?」

「おバカ! やめなさい!」

オレは、タマちゃんとオカマが止めるのも聞かず。

「こンのおおおっ!!」

メガネ男に向かって、拳を握りしめて飛び出していた。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
オザキ、怒りの鉄拳!でもボコボコにされるんじゃないかなぁ?弱そうだし。
ところで「猿」は出てましたっけ?
ia.
2008/09/07 23:01
ぎくっ!<ボコボコ
そ、それは次回をお楽しみに、とだけ言っておきますわオホホホ(図星だったので錯乱中)

猿はですねえ、過去に一回だけ出てるんですけど、なかなか「私が猿だ」と出て来るタイミングが見つからなくて……。

鈴藤 由愛
2008/09/08 08:59
おお、やっぱこうこなくちゃね。話はおもしろくならない。主人公、ここで男になるかならないか、かっこよく決めてほしいわあ!
つる
2008/09/08 21:52
男は殴り合って友情を深めるものですからね!
熱くなる時には熱くならなきゃ。
何せ、まだ十代なんだものっ。
ただ、うちの小崎君は……かっこよく決まらないどころか、もごもごもご。
鈴藤 由愛
2008/09/08 23:39
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