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zoom RSS 足元からの危機(三十四回目)

<<   作成日時 : 2008/09/26 23:06   >>

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――オレは、ちらっと処刑場の出入り口を見た。

あいつの体の大きさじゃ、どう頑張っても通れない。
なら、ここから出てしまえば、あいつは追って来れないんじゃないだろうか。

「こっち行こうぜっ」

オレは小声でタマちゃんと若桃に提案すると、一番近い出入り口に向かって全力疾走した。

頭の上で、ビュンッと風がうなる。

鬼の総大将め、パンチでも食らわそうとしてんのか。
全然当たってねえよ、バーカ。

「あるじ、止まれえぇっ!!」

出し抜けに上がったタマちゃんの叫びに、オレは思わず足を止めた。

「何だよっ」

振り向いたその時、出入り口の壁にピシッと亀裂が入るのを、オレは視界の端に見た。

――やばい。

オレは慌てて元来た方に引き返す。
直後にガラガラガラッと石が崩れて、たちまち出入り口はガレキの山と化した。

あ……あぶねー。
タマちゃんが止めてくれなかったら、オレは今頃……。

「お前でも考えつくことを、この私が思い至らぬと思うか?」

鬼の総大将が、馬鹿にした笑みを浮かべてオレを見る。

……その姿に、変化が起きていた。

たぶんケツから伸びてると思うんだが、全体をうろこに覆われた尻尾みたいな物が、ぐねぐね動いているのだ。

「へ……変形なんてずるいぞー!」

あ。もしかして、さっきオレの頭上で聞こえたビュンッて音の正体は、これか?

「あるじは、戦いには不慣れな上に性格も戦向きではない。以後は、先頭に立って行動しない方が良いだろう」

タマちゃんに諭されて、オレはうなだれた。

「……オレ、あるじなのに情けねえな」

「否定はできん」

うなずかないでくれ、タマちゃん……。

「会話はその辺にしておけ! 奴の様子がおかしいぞ」

若桃の声に視線を向けると、鬼の総大将が、さらに変形しているところだった。
メキッ、メキッ、と背中から何かが盛り上がってきて……。

「げえっ」

あ、あんの野郎。羽根まで生やしてやがる!

「卑怯だぞコンチクショー!」

「なあに、お前達は逃げ回るつもりらしいからな……追うのに有利にさせてもらっただけさ」

こんなのどうしろってんだ!
オカマとオバちゃんは「時間が来るまで逃げろ」って言ったきりだし!

ばさ、と舞い上がった鬼の総大将が、空中で動きを止めると、何もないはずの場所を蹴って、ぐるりと上下を反転させた。

そして――イヌワシだか鷹みたいに、急降下を始めた。

おおおおぉぉぉぉっっ!!

拳を作り、とんでもないスピードでぐんぐん迫ってくる。
攻撃対象は……タマちゃん!?

「危ない!」

「おっ!?」

オレは、力いっぱいタマちゃんを突き飛ばした。

よっしゃ、これで安心!

……あ。
自分が避けるの忘れてた。

「うわあああああっ」

オレは、頭を抱えてその場にうずくまった。

ああっ、オレここでおしまいなのか!?

「……れ?」

いつまで経っても攻撃されないのを不審に思って目を開けると、鬼の総大将が、光でできた糸みたいなもので全身をからめ取られて、直立不動の体勢を取らされていた。

な、何だ?

「どうやら、時間とやらが来たようだな」

若桃は、よく見ようと近付こうとするオレを片腕で止めた。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
き、危険なシーンだわ。
羽根とか困るンすけど。
とりあえず鬼の総大将は固まったのね。さあ、次へ行こう。
つる
2008/09/29 00:23
変形はボスキャラの特権ですたい!
角と尻尾と羽根とがついたら、それはもはや鬼とは違う生命体だよな……と今頃ふと気付いた。
鈴藤 由愛
2008/09/29 06:45
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