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zoom RSS 足元からの危機(ニ十六回目)

<<   作成日時 : 2008/09/15 23:54   >>

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半袖の白い着物を、腰のところで黒くて細い帯で縛って。
その上に、背中に何かの赤い模様のある、はっぴに似た紺色の上着を羽織って。
下は、細身のはかまと、鉄板の仕込まれた靴。

ああ、これなら確かにカツンカツン靴音がするわけだ。
納得。

仕上げに、顔を頭巾ですっぽり覆えば、あら不思議、兵士Aの出来上がりぃ!

……と思ったけど暑いから頭巾はまだ脱いでようっと。

「変わった制服だよなあ」

オレは、しみじみつぶやいた。
なんつーか、和服とは言い切れない、変わったカッコだ。
半袖の着物なんか、オレ初めて見たぞ。

おまけに、自分の服じゃないせいか、ちとサイズが合わない。
何となく布が余ってる感じだ。

む〜……。

転がってる兵士を見る。

ふんどし一丁になるまで衣服をはがれたその姿は、非常に哀れなもので……って違うだろオレ。

身長はそんなに変わらない……よな。
だけど、筋肉がものすごく発達してて、腹なんか六つに割れてる。

この筋肉の違いが、ぴったり感の違いになって出てんだろうか。

「まあ、とんでもなくズルズルしてるわけじゃないんだから、見た目でバレはしないよ」

オバちゃんはもう一着の制服を持ってオレから離れると、着ている物をゴソゴソ脱ぎ出した。

おわわわっ、背中、背中を向けねば!
いくら相手がオバちゃんとはいえ、一応女なんだし、見ちゃマズイ!

これがもっと若い人だったらなあ、なんて、思ってるけど言わないよオレ。

「若い娘だったら良かったのにねえ?」

……ボソリッ。

後ろから、オバちゃんの声が……!

「いいいいいえ、そんなことはっ!?」

「ふっふっふ、からかっただけだよ」

し、心臓が止まるかと思った……。
あー、変な汗かいちまった。

「そ、それにしてもさ、これってどのぐらいの階級の兵士の制服なんだろな?」

オレは、これ以上この話題を掘り下げないために、別の話をした。

「こいつらなんか下っ端だよ、下っ端。上の階級に行くためにはムキムキじゃないと駄目なんだ」

……鬼社会では筋肉の量が物を言うのか、恐ろしい。

ってことは、オレが豆をぶつけたあのマッチョ、かなり上の階級だったんじゃないだろうか。

「もうこっち向いても良いよ」

へーい。
オレは、オバちゃんの方を向いた。
オバちゃんはオレとは違い、だぶつかせることもなく制服を着こなしていた。

……実は筋肉のせいじゃなくて、こういうのを着なれてるかどうかっていうのが決め手なんだろうか。

「服と一緒に、こいつもいただいて行くとしよう」

オバちゃんは、棍棒みたいな物と、じゃらじゃらとたくさんの鍵がついた鉄の輪を見せる。

「がってん!」

そういうわけで、変装をすませたオレ達は死体置き場を出る。
扉の鍵穴に片っ端から鍵を突っ込んでいくと、四つ目でガチッと鍵がかかった。

……さらば、兵士二人組よ。
君達の犠牲は無駄にしない。
我々が必要としている物を提供してくれた事を、きっと忘れはしないだろう。

って、殺したわけじゃないけどな。
ふんどし一丁で寝ててカゼひかないかどうかだけは、ちょっとだけ気になるけどな。

「……後戻りはできないよ。腹決めな」

オバちゃんが、背すじをピンと伸ばして真剣な顔でオレを見る。

「おうっ」

オレは、拳を握りしめてみせる。

今のこの状況、背水の陣?
いいや、どうせなら反撃開始って考えよう。
その方がテンション上がるから。

頭巾をかぶり、オレ達は歩き出した。

――いざ!

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
>「がってん!」
大ゴケしました。なんか緊張感の中にもユーモアを感じました。
連載物のコメントって案外ムズイね。とんちんかんだったらごめんね。毎回、由愛さんが欲しいコメントが書けてるかちょっと自信ないです。
つる
2008/09/16 00:54
そこにツッコミがいないという悲劇ですね<がってん!
読み手がツッコミを入れるしかないというボケシーンはだいぶ書いてます。
シリアスになりきれないもので……。
いえいえ、毎回感想を下さるので励みになってますよ。
ぶっちゃけ、一年ぐらい前までは基本としてコメント0でしたからね。
欲しいコメントというか、狙ったところに目を留めてもらえるのって嬉しいですが、逆に書き手が意図しない部分に注目されるというのも楽しみの一つです。
鈴藤 由愛
2008/09/16 08:09
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