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……よし。 ここまで来たら、もがこうが何しようが逃げられないんだから、腹を決めなきゃ。 「ミチルさん」 決意を固めてると、カラスが私の顔を見つめた。 「何よ」 「セーブポイントに戻りたい、ですか?」 …………。 「何よアンタ、いつからロープレやるようになったの!?」 カラスがそんな事言うなんて、ビックリだわ。 思わず思考止まっちゃったじゃないの! 「いや、ロープレって何かはわからないですけど、この言葉、大事な曲面にふさわしい言葉なんですよね?」 「ま……まあね」 間違いではないわよね、うん。 正しいとも言えない気もするけど。 ……あ、大事な事忘れてた。 「閻魔様、助けてくれてありがと」 閻魔様がいなかったら、ナツメちゃんのお母さんを見つけ出せなかっただろうし、あの塊をどうにかなんて出来なかったもんね。 「い、いや、別に……」 はっはっは、顔赤いよ閻魔様。 まだまだ若造だねえ。 「……そ、そうだ。俺も見送りに行ってやろう」 閻魔様が、赤い顔で咳ばらいをした。 「ええ? 仕事は?」 閻魔様の仕事って、誰かが代われるものじゃないんだし、早く戻った方がいいんじゃ……。 「ああ、もうしばらくはごまかせ……」 「閻魔様ー!」 その時、ずどどどどど……っと地響きを立てて、大勢の男がこっちに向かって突っ走って来た。 全員同じ服で……って、顔や体つきまで一緒!? パッと見、クローン大襲来っていうタイトルが似合いそうな光景だ。 「げっ」 それを見た閻魔様が、露骨に嫌そうな顔をする。 「閻魔様、職務に戻っていただきますっ」 走って来たクローン達(?)は、同じ声で、びしっとそろえて発言した。 な、なんか迫力あるぅ。 「も、もう少し良いだろう」 閻魔様、腰が引けてるわよ。 「何をおっしゃいますか! 約束の時間をとっくに過ぎておりますよ!」 言うなり、閻魔様を胴上げよろしく全員で持ち上げると、クローン達はわーっと御殿の中に走って行った。 ……この状況、黙って見送るしかないじゃん、ねえ? 「……あの人達、何?」 「御殿で働いている者達です」 ああ、霊界に抱いてた、神聖で厳かなイメージが、ガラガラ音を立てて壊れていくわ……。 「では、行きましょう」 カラスの後に続いて、私は歩き出す。 ……もう、こんなことをするのも最後なんだ。 「ねえねえ、地獄ってどんなトコ?」 歩きながら、知りたかったことをカラスに聞いてみる。 「う〜ん……行ったことないから、詳しくは知らないです」 まあねえ、行ったら戻って来れないんだろうし。 「でも、ミチルさんなら大丈夫じゃないですか。針山で針に刺さっても平気そうだし」 「おい」 私はサイボーグかいっ! 「あ、あのさ、血の池地獄ってあるじゃない。あれって吸血鬼が見たら喜びそうだね」 「吸血鬼は地獄に来ないと思いますよ」 「あ、そっか」 そんな具合で、他愛もない話をしながら歩くうち、私達は錆びた鉄の門の前に到着した。 「ここ?」 「はい、ここです」 うーん、中をちょっとだけ見てみようかな。 開けようとしたら、ギイイイ……と勝手に門が開いた。 誰か出てくるのかと思ってたら……いきなり、物凄い勢いで中に吸い込まれそうになって、私は慌てて門にしがみついた。 「ちょっ、や、きゃああああ〜〜っ!!」 今ならわかる! 掃除機に吸い込まれるゴミ達の気持ちが! 痛いほど、よくわかる! 「早く入って下さい」 カラスが、門にかかっていた私の手を足の爪で蹴飛ばす。 「あいたっ」 チクッと痛かったので、私は、パッと手を離した。 ……どうなるか、決まってるわよね。 私は、掃除機……じゃない、門の中にスポーンと吸い込まれた。 「ミチルさん、がんばって下さいね〜」 「カぁラスぅぅぅ〜っ!」 おのれ、覚えてろ〜っ! 地獄の底から呪ってやるううーっ! ……気がつくと、私は花畑の中にいた。 ここは……地獄? あれ……地獄って案外きれいな所なのね。 てっきり、岩だらけの暗ーい場所だと思ってたのに。 「ああ、いたいた!」 立ち尽くしてると、女の人が駆け寄って来た。 黒髪をきれいに結い上げて、淡い色の着物の上に、羽衣っていうのかな、薄布を巻き付けてる。 「早く行きましょ。いろいろ説明しなきゃ」 女の人は、私の腕を取って、ぐいぐい引っ張って行く。 「あの……どこへ?」 わけわかんないまま引っ張られて歩いてると、 「何言ってるの〜、あなた、私の後任になったんでしょ!」 女の人がとんでもない事を言い出した。 「へ?」 誰が? 何の後任? 「あら、聞いてないの? 幼くして死んだ子供達の魂を、生まれ変わる日まで見守る役目よ。私がそろそろ引退するから、後を任せられる人を探しておいてって頼んでたのよ〜」 な、な、な、何ですとー!? だーれもそんなこと言ってなかったわよ! 「先代の閻魔様直々のご推薦なんて、あなたが初めてだわ。頑張ってね」 にこ、と笑ってポンと肩を叩かれた。 あ……だからカラスの奴、「がんばって下さいね」なんて言ったのか……。 しかし、誰だろう。先代の閻魔様ってのは。 「あの、先代の閻魔様って……?」 「今の閻魔様のお父様よ。とっても素敵な方なの。あなた、一体どこで知り合ったの?」 「え? えー……?」 閻魔様のお父さん……誰だあ? それっぽい人になんて、会ったかなあ? ……わかんない……。 「で、その役目って、大変なんですか?」 「そりゃあもう! でもねえ、子供達の笑顔見てると、とってもやりがいを感じるわよぉ」 ずんずん突き進む先には、やがて一本の大きな木が現れて。 その下で、小さな子供達がキャーキャー遊び回っていて。 その子供達の中に、いつか見た面影のある女の子が二人いて。 ……まあ、いいか。 私は、その役目とやらを引き受けてやろう、と思った。 完 |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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おいおい、掃除機って(笑)地獄といってもお仕事だったんですね。ってことは閻魔様とその後ロマンスも? |
ia. 2008/09/02 01:55 |
ありがとうございます〜。 |
鈴藤 由愛 2008/09/02 08:33 |
お疲れ様でした。 |
舞 2008/09/02 18:39 |
ありがとうございます〜。 |
鈴藤 由愛 2008/09/02 23:14 |
了解です! |
舞 2008/09/03 08:18 |
そうだったのかー。 |
つる 2008/09/03 23:45 |
ありがとうございます。 |
鈴藤 由愛 2008/09/04 00:17 |
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