プラスマイナス1

アクセスカウンタ

zoom RSS 霊界探索之六

<<   作成日時 : 2008/08/19 23:47   >>

トラックバック 0 / コメント 3

御殿に入ると、だだっ広い部屋に通された。

床は白い石でできてて、天井には何かの鳥の細かい彫刻が施されてる。
両脇に真っ赤な太い柱が等間隔に立っていて、その向こうは真っ暗で何も見えない。

この部屋には、休憩のためにとか、間違ってももてなすために通されたんじゃないことはすぐにわかった。
椅子が一つもないからだ。

「今日の死人は二人だけか」

でかい机に頬杖ついて、黒髪の若いお兄ちゃんが、やる気なさそうに私達を見た。
変わったデザインの着物に黒いはかま姿で、おしゃれのつもりなのか、さらに着崩してる。

「はい、さようでございます」

カラスが舞い降りて来て、そいつに向かってうやうやしく頭を下げる。

「楽でいいな。では早速申し渡しを始めよう」

若いお兄ちゃんは、どこかウキウキしながら立ち上がった。

「ねえ、あいつ誰?」

私は、カラスにこっそり聞いてみた。

「ミチルさん、この状況で誰と間違えようっていうんですか。あの方は閻魔大王様です」

頭痛がします、と言ってカラスが翼で頭を押さえた。

ほえー。
これが閻魔様。
どっからどう見ても、目立つカッコした今風な若者、って感じだけど。

閻魔様って、もっとゴツくて怖いおっちゃんを想像してたわよ、私。

「では、申し渡しを始める」

若いお兄ちゃん……じゃない、閻魔様が流れるような動きで巻物を広げる。
カッコはアレだけど、仕事に関しては一応真面目みたいね。

閻魔様は巻物に目を走らせると、私を指差した。

「そこの女、中森ミチル。お前は地獄行きだ」

「ぎょえーっっ!!」

い、いきなり言う〜!?
心の準備ぐらいさせてよー!

そりゃ、極楽に行けるような清らかな心の持ち主じゃないって自覚はあったけどさ……。

ショックで頭クラクラしてる私を見て、閻魔様がニヤリと笑った。

……あ、笑うと牙が見えるのね。

「近頃は皆地獄行きばかりだからな、死に別れた者に会えるかもしれんぞ」

い、いや、それ、何の救いにもならないっすよ、閻魔様。

……昔死に別れて、もう一度会いたい人がいる、っていうのは、確かだけど。

「それから、隣の小娘。岩崎ナツメ」

閻魔様は、別の巻物を広げて、女の子を指差した。
私は、手をつないだその子をちらっと見る。

そっかあ。
この子の名前、岩崎ナツメっていうのか。

ナツメちゃんはきっと、極楽行きだわね。
だって、そうじゃなきゃおかしいもの。
自業自得で死んだのとは、絶対に違うんだから。
せめて死んだ後からでも、幸せを感じさせてあげて欲しい。

――私は、そう思ってたんだけど。

閻魔様は何も言わず、さっと片手を上げた。

すると、真っ暗な所から、ガシャガシャ鉄製品がぶつかるような音がした。

なんだなんだ?

戸惑ってると、槍を持った男が出てきて、ナツメちゃんの腕をつかんだ。
怯えたナツメちゃんが、私の手をぎゅっと握る。
大丈夫だから、というつもりで握り返したその手を、後から出てきた奴の手が無理矢理引きはがした。

「痛っ!」

何すんのよ、こいつら!

私は手をなでながら、にらんでやった。
……向こうは私のこと、ハナから無視してたけど。

「ナツメ。お前は極楽へも地獄へも行けぬ魂だ。今ここで滅するが良い」

「……っ!」

閻魔様の言葉に、二人の男に両腕をつかまれたナツメちゃんが、息を飲む。
ナツメちゃんの、すすきを握る手が震えていた。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
あららー。そんなあ。でも、なぜなぜ?
先を急ごっと。
つる
2008/08/21 00:07
あれ〜ナツメちゃんになにが?
私も先を急ぎますわぁ。

2008/08/21 08:43
ここは私に任せて、先を急ぐんだ!
世界を……救ってくれ!(何か違いますよ)

鈴藤 由愛
2008/08/21 09:32
霊界探索之六 プラスマイナス1/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる