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zoom RSS 霊界探索之四

<<   作成日時 : 2008/08/17 21:32   >>

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河原を歩き続けて、どのぐらい経っただろう。

いきなり、目の前に一面すすきの生えた場所が出現した。
真ん中に、細い道がずうっと続いてる。

はあ〜、まだまだ歩くんかい。

うんざりしてると、視線を感じた。
視線の主は、ジャンパースカートの女の子だ。
心なしか、ちょっとだけ、距離が近いような……。

これはもしや、心を許し始めてる?

「あっ、そういえば名前、まだ言ってなかったね。私、中森ミチルっていうの。ミチルお姉ちゃんって呼んでね。間違ってもミチルおばちゃんって呼んじゃ嫌よぉん?」

必殺のキラキラスイートスマイル、発動!

…………。

……反応が、ない……。

この状況で「あなたのお名前は?」なんて聞けるほど、私のハートはタフじゃないわ……ふ、ふふふ。

「あのぉ、話はもう終わりました?」

ぐさっ!

カラスの一言が、とどめを刺した。

へ、へこむわ〜……。

「この先に、閻魔様のいらっしゃる御殿があります。もう少しですよ」

カラスの言葉に、手招くようにすすきが揺れた。

あ、あの……私まだハートブレイク中なんですけど……。

なのにカラスは振り向きもしないで飛んで行くし、女の子はスタスタ先に行っちゃうし。
だーれも私のことなんて気にしてない。

……しゃーねえ、歩きますか。

私は小走りに追いかけて、女の子の隣に並んだ。
同時に、女の子が強張った表情でうつむいた。

むー……。

「怖くないぞー」

私は、ほっぺたポリポリかきつつ、そう言っといた。
女の子はこれといって反応してくれなかったけど、でも、言っておくのとおかないのとじゃ、違うよね。

……それにしても、謎だ。
同じ死人なのに、なんで私達は着てるものが違うんだろうか。

カラスに聞いてみるか。

「ねえ」

「何ですか」

「私達、何で着てる服違うの?」

もしその理由が「着たいものが着られるから」というのなら、私は着物なんかじゃなく、ワンピを着るぞ。
こないだお店で一目惚れして買ったやつが、クローゼットに眠ったままなのだ。
あれ、まだ一回も着てなかったなあ。

「そうですねえ……」

そこでカラスが、間を置いた。
何だ?
そんなにすごい違いがあるの?

「わかりません」

「ええーっ」

何さ、期待させといて!

私が不満を顔に出すと、カラスがムッとした感じの目を向けてきた。

「わからないものはわからないんですよ。仕方ないじゃないですか」

「わからないままでよく仕事できるわねえ」

「わからなくたって仕事できますから」

「あ……そ」

私がそれ以上絡まなかったのは、むなしくなったせいだ。
社会人の悲しい性(さが)ってやつかしらねぇ、死んだっていうのに仕事を話題にしちゃうなんて……。

「それにしても、ミチルさんでしたっけ? あなた、死んだっていうのに煩悩ありまくりですね」

「まーね」

死んだらなーんにも感じなくなるって思ってたけど、実はそうじゃないのね。
何だか、自分がまだ生きてるみたいな錯覚しちゃうよ。

しっかしまあ、これからまた歩くとなると、退屈そうだなあ。
私は退屈しのぎに、その辺に生えてるすすきを一本引っこ抜いた。

「ふーふーふふーふーふーふーふーんふーふーふーん」

鼻歌歌いつつ、それをぷらぷら揺らしながら歩いてると、女の子が私の持ってるすすきを、じーっと見てるのに気付いた。

……欲しいのかな?

「はい」

身をかがめてすすきを差し出すと、女の子の目がまん丸くなった。

「いらない?」

「……る」

消えちゃいそうな小さな声で、女の子が何かを言った。

ん?
もしかして今「いる」って言ったの?

「じゃあ、はい」

すすきをさらに近付けたけど、女の子はもじもじするばっかりで、なかなか受け取ろうとしない。
しょうがないなあ。
手を取って持たせると、女の子がビクッと震えて、顔を真っ赤にした。

なんか、小動物みたいだな、この子。

「……りがと」

かすれた声で、お礼を言われた。
おどおどして、私とは目を合わせてくれなかったけど、悪い気はしない。
だって、ちょっと前までは反応なかったんだから、それに比べたら感動ものよっ。

「いーよいーよ。どういたしまして」

ふむふむ。
ちょっとは関係に進展あり、かな。

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コメント(5件)

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お、距離が縮まった。よかったよかった。

ススキが効果的です。そういえば、これでよくカンザシを作りました。
つる
2008/08/17 22:37
カラス、なかなか空気を読んでくれませんねぇ。女の子の雰囲気が多少ほぐれてきたとは言うものの・・・。
なんだか、私まで心細くなってきましたよ。エンマさまは、どんな人なんだろう?
ia.
2008/08/17 23:29
感想ありがとうございます。

つる様>すすきでカンザシですか、良いですねえ。
私はたくさん集めて「ホウキ〜」とか言ってました。
我がボキャブラリーの貧弱さがここで明らかに……っ!

ia.様>KYってやつですね。
でも、実はあえて読んでないのかも。
ミチルのことは「変な奴」ぐらいにしか思ってなかったりして。
次あたりでいよいよ閻魔様お出ましです。

よろしければ、またおいで下さいませ。

鈴藤 由愛
2008/08/18 07:19
女の子の存在が気になりますね。
これから女の子にも何かの展開があるんでしょうか。
それにしてもこの世界の案内人(鳥)にしては面白すぎですよ。
アニメかなんかで観てみたい感じです。

2008/08/18 09:04
感想ありがとうございます。

女の子はこれから色々出していく予定です。
てか頭の中じゃ最終話までできてます。
問題は、それを形にするのに時間がかかるということです。

アニメになるなら私も観たいですよ!
今のところ、マンガになったらどんな具合かなーとはちらっと想像してますがね。
ちらっとね。ちらっと。

よろしければ、またおいで下さいませ。
鈴藤 由愛
2008/08/18 23:44
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