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zoom RSS 霊界探索之十六

<<   作成日時 : 2008/08/30 14:30   >>

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「さ、霊界に戻りましょう」

カラスが、私の頭の高さぐらいまで、ばさり、と舞い上がる。

あー……帰ったら、私は地獄に行くんだなあ。

不意に思い出したら、落ち込んできた。

地獄って、どんな所だろ。
昔から言われてる通り、鬼に脅されながら針山登らされたり、血の池に沈められたりすんのかな。
……それとも、実は地獄の方も効率化を考えて、機械化してたりして?

んー…………。

ベルトコンベアーで亡者を規則正しく運んで、血の池に落としたり。

鬼型ロボットが、ギーガシャギーガシャ言いながら亡者を針山に追い立てて回ったり。

そのロボットに逆らったら、目からビームが出て黒コゲにされたり。

亡者が逃げ出したら赤ランプがついて、けたたましい警報音が鳴り響いたり。

業務連絡の地獄内放送があったり……。

…………。

「ミチルさん、変な顔してますよ。どうしたんですか」

「な、なんでもないわ……」

今、妙なものを想像してしまったわ……ふ、ふふふ。

まあ、じたばたしても結果は変わらないんだし、行こっか。
立ち上がった私は、バランスを崩して、ずべっとすっ転んだ。

へ、変だな。
足に力が入らない。

「おい、どうした」

「ち、力が入らないの……」

「腰が抜けたか。情けない奴だな」

閻魔様が呆れてる。

しょうがないでしょ。
自分でもどうしようもないんだから。

「ほれ」

げんなりしてると、閻魔様が肩を貸してくれた。

「歩けって言うのー? 男だったら、黙って抱っこかおんぶしてくれるのが甲斐性ってもんでしょ!」

「お前、重そうだから嫌だ」

閻魔様が、心底嫌そうに、ぷいっ、とそっぽを向いた。

ムカッ。

「失礼ね、そんなに太ってないわよ!」

そりゃスリムとは言えないけど……標準ぐらいよね、うん。
お腹だって出てないんだし……。

「ん?」

お腹に視線を落としたら、まだら模様の太い糸みたいな物が出てるのに気付いた。

……何これ。

「なんだ、そのままにしていたのか」

同じく気付いたらしい閻魔様が、まじまじと見てる。

「何が?」

「それは、お前の腹を刺していたやつだぞ」

へー、切り落とされてしぼんだのかな。

私は、その先っちょをつまんだ。

この形状といい、位置といい……まさに!

「へその緒!」

「阿呆」

ノリの悪い閻魔様に、ぶちっと引っこ抜かれた。

……カラスといい閻魔様といい、霊界に住んでる奴ってシャレがわからないのね。
死んだお笑い芸人やコメディアンの、悲しみに暮れる姿が目に浮かぶわ……。

あ、でもカラスは私のこと、「死んだっていうのに煩悩ありまくり」って言ってたから、普通は死んだらそういう方向に考えなくなるのかな?

「おしゃべりはそのくらいにして下さい。始めますよ」

あ、今、ため息ついたな、カラス。

「始めるって、何を?」

「帰るための準備ですよ。動かないで、そのままじっとしていて下さいね」

カラスが、私達の周りを素早く飛び回り始める。
そして突然、ばさあ、と翼を広げた。

途端、上に引っ張られるような感覚が襲って来た。

……これが、霊界に戻るってことか。

私は、ナツメちゃんのお母さんを振り返った。

彼女は、手の平をじっと見つめていた。
ついさっきまで、ナツメちゃんに触れていた手を。

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
ナツメちゃん、無事で良かったですね。
それにしてもミチルの想像する地獄絵図・・・どこまでも笑いを忘れない子ですね(笑)でも、いよいよクライマックスですよね。閻魔様Jr.を色香に迷わせて、なんとか天国に?続きが楽しみです。
ia.
2008/08/30 20:57
あら、わたしも一つとばしでこっちへきました。
ミチルの想像する「機械化された地獄」これだけで一本書けそう。笑いました。
山場を越えてひと息ついたところだから、もうハラハラさせないでね。心臓に悪くていけない。
つる
2008/08/30 22:29
ia.様>どうもミチルは生粋のボケ体質なようで、書いてるうちに何か一つやらかしてくれます。
閻魔さまを色香に!? うーん、ミチルにそんなことが可能なのか(ひどい)

つる様>これからはエピローグに入ります。はい。穏やかーな形で終われると……いいな。こいつら勝手にドタバタ始めそうで不安だけど……。
あたたかく見守って下さい。

無関係ですが、堅苦しいかと思って「感想ありがとうございます」で始まり「よろしければ、またおいで下さい」で終わる形をやめてみたのですが……無礼な奴だと怒ってない、ですか?(びくびく)
鈴藤 由愛
2008/08/30 22:48
あ、もう、ぜんぜん、それでお願いします。
文字って不思議。喋り言葉と違いますもんね。ため口くらいでちょうどいい。丁寧に書くと、距離があるみたいに感じます。
なのに、ちょっとでも言葉が足りないと、誤解されることになる。むずかしいわ。
そうそう、今回の由愛さんのモチベーションの高さはすごいわ。連日アップに感動です。
つる
2008/08/31 01:13
あ、じゃあ今後も堅苦しくない感じで行こうっと。
ねー、難しいですよね。親しみやすいのと馴れ馴れしいのも紙一重だし。

今回は私も驚きです。
こんなにスムーズに進んでる!って。
女主人公だと書きやすいと発見した今日このごろ。
鈴藤 由愛
2008/08/31 07:25
私もこちらへ感想書かせてもらいますね。
手に汗握って読ませてもらいました。
でもその後の「機械化された地獄」で
ちょっと楽しい気分になれました。
由愛さんの回転の素晴らしいお話に
感動しています。

あのね、私もフレンドリーな感じで
堅苦しくない方がいいと思いますよ。
みんな女流作家?同士じゃ〜ん!
(砕けすぎかね……^^;)

2008/08/31 20:22
手に汗握ってもらえましたか。
よかったよかった。
私、戦闘とかアクションとかの描写が得意じゃないので、迫力が出せなくて悩んでたのですよ。
機械化された地獄は楽しく書けたんですけどね。

そうさ、今日から僕らはフレンドリーだ!(サワヤカな笑顔)
鈴藤 由愛
2008/08/31 21:19
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