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zoom RSS 霊界探索之十四

<<   作成日時 : 2008/08/28 23:43   >>

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力が、抜ける。

私は、よろける足を必死に踏ん張った。
幽霊だからか血は出てないけど、もし生きてる間にこんなことされたら、間違いなく出血多量で死んでる。
その前に、自分の血を見てパニックになってるんじゃないだろうか。

……死んでると、思考の仕組みって変わるのかな?

私は、妙に冷静に考えていた。

しっかり踏ん張れ、自分。
まだ倒れるわけにはいかないんだ。

だけど、いくら自分にハッパかけても、ナツメちゃんを引っ張る腕の力が弱くなるのはどうしようもなかった。

――おまけに。

痛いよお。

おなか空いたよお。

寒いよお。

お母さぁん。

怖いよお。

捨てないでぇ……。

殺さないでぇ……。


いろんな子供達の声が、頭の中でわんわん響いて、気が滅入ってくる。

これが、閻魔様の言ってた、浮かばれない魂……?
この山で、一体何人の子供達が悲しい死に方をしたっていうの?

「くそっ」

閻魔様の刀が、私と肉塊とを切り離す。
同時に、声が聞こえなくなった。

……そういえば、浮かばれない魂が集まってできてるんだったね、この塊。

「しっかりしろ、まだ終わってないぞ!」

閻魔様は、刀を一振りしてさやに戻すと、私の手の上からナツメちゃんの腕をつかんだ。

「せーの、で引っ張るぞ。せーのっ」

渾身の力をこめて引っ張ると、どろり、とナツメちゃんの体が抜け出してきた。

やった!

「きゃ」

「わ」

その時、勢い余って、どたあ、と引っくり返った。
そう、勢い余ったんだ、本当に。

「ぐふっ!?」

だから、私、後ろから引っ張っていた閻魔様のみぞおちに、思いっきりひじ鉄食らわせちゃった。

「〜〜〜〜っ!!」

閻魔様、よっぽど痛かったんだろうな。
うずくまって、しばらく動かなかったもの。

「うわっ、ご、ごめん! 大丈夫っ?」

「……下がっていろ!」

ちょっと涙目の閻魔様が、刀を抜いて塊との間に立ちはだかる。

これって、かばってくれてるのかな。

「援護しますっ」

その隣に、バサバサとカラスが飛んで来た。

……戦いの方は、慣れてる人達にお任せしよう。

私はナツメちゃんを抱えて、ずるずると離れた場所に避難した。
平らになってる場所を探して、ナツメちゃんにひざ枕をする。

「ナツメちゃん、しっかりして!」

お願い、目を開けて!

祈るような気持ちで呼びかけたけど……ナツメちゃんは、ピクリともしない。

まさか、手遅れだったの?
そんな……!

目の前が真っ暗になりかけた時、ナツメちゃんの目が、ゆっくり開いた。

「……おねえ、ちゃん……?」

ああ……!

私はナツメちゃんを抱きしめて、泣きじゃくった。

「良かった、良かったああ……」

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
涙目の閻魔様。一番おいしい場面なのに(笑)でも、カッコイイよ!カラス、頑張れ!ちょっとは役に立て!
感想じゃなくて声援ばかりですみません。
ia.
2008/08/30 00:05
真面目な方向に展開してるのに、ついお笑い要素を入れたくなる、悲しい性(さが)……。
声援ばっちり届きましたよ、頑張りまっす!
鈴藤 由愛
2008/08/30 07:28
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