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zoom RSS 霊界探索之十二

<<   作成日時 : 2008/08/26 23:51   >>

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「おかあさん、いつまでいきてるの」

え……?

私は、耳を疑った。

ナツメちゃん、何言ってるの?

「ナ、ナツメ……」

ナツメちゃんのお母さんが、涙でぐじゃぐじゃになった顔を上げる。

「おかあさん、いったよね。じぶんもすぐにいくからね、っていったよね。なのに、どうして、きてくれないの」

「お、お母さん、死のうとしたんだけど、怖くなってできなかったの。ごめんね、お母さん、死ねない……」

ナツメちゃんのお母さんが、震えてる。

「じゃあ、てつだってあげる」

私は、ぞっとした。
ナツメちゃんが、何でもないことのようにそう言ったから。

……ただ、私にはナツメちゃん本人だけじゃない、誰かの声が混じって聞こえた。

「ナ、ナツメ?」

ナツメちゃんが、お母さんの首に手をかける。
そして、その小さな手に力をこめた。

「ナツメちゃんっ!」

気付くと、私は飛び出していた。

「どうしてこんな事するの! こんな事をするために、お母さんに会いに来たっていうの?」

私は、苦しんでいるお母さんの首から、ナツメちゃんの手を引きはがそうとした。

「じゃまするなあああ!」

ナツメちゃんは、信じられないほどの力で、私を振り払った。
はっきり言って、人間技とは思えない。

「きゃっ」

私は地面に投げ出される。

――今の声は、ナツメちゃんの声じゃなかった。
もっと陰湿で暗い、別の誰かの声だ。

「しねよしねよはやくしねよ」

「やめて、おかあさんしんじゃうよ」

「しねしねしね」

「やめて、おかあさんにひどいことしないで」

ナツメちゃんの口から、本人の声と別の声が交互に出て来る。

「まずいな」

いつの間にか近くに来ていた閻魔様が、舌打ちする。

「この山、かなりの数の浮かばれない魂がさまよっている」

「それがどう関係あるの?」

私が聞くと、すっと手を差し出してきた。

……この状況で、何故に握手?

「立て」

ああ、そういうこと。

私はその手につかまって立ち上がった。

「あの小娘の怨みや悔いの念が、そいつらに引き寄せられて、肥大化しているんだ」

「ねえ、ナツメちゃんを元に戻してあげられないの?」

私の言葉に、閻魔様は首を横に振った。

「肥大化してからではどうにもならん。こうなったら、消滅させるしかないな」

そんな……。

私は、力の抜ける思いにとらわれた。

私、何もしない方が良かったのかな。
あの時、連れて行かれるナツメちゃんに、黙ってサヨナラしていれば良かったのかな。
そうしたら、ナツメちゃんはまだマシな終わり方を迎えられたのかな。

私が……私が……。

「おい」

べしっと頭をはたかれた。
顔を上げると、閻魔様が私をじいっと見ていた。

「へこむのは勝手だが、その前にやれるだけのことはしてやれ。責任感じてるならなおさらだ」

……そうか、そうだね。

私は、うなずいた。

閻魔様、今ちょっとだけカッコイイぞ。

「いぎゃああああああ!」

その時、ナツメちゃんが突然苦しみ出して、お母さんから手を離した。

「ぎゃああああっ!」

目を見開いて両手で頭を抱え込んで、なおも動物のような叫び声を上げ続ける。

そのナツメちゃんの足元から、ボコボコッと黒い塊が出て来る。
一つ、二つと数を増やしたそれは、お互いにくっついて大きくなり始めた。

そのうち、巨大なゴム風船ぐらいの大きさになると、細長い手足が生えて来て、人間みたいな顔が浮かびあがってきた。

――そして。

「ナツメちゃん!」

塊はナツメちゃんを飲み込んで、一気にふくれ上がった。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
わーーーっ!ナツメちゃーーーん!

それしかいいようがないです。どうなるんだ!
つる
2008/08/27 21:59
お、閻魔さま、カッコイイ。さすが上級職。
それにしても、この展開こわっ!
カラス、何かアイテムを!誰か、誰か、助けてあげて〜。
ia.
2008/08/27 22:45
つる様>大丈夫、ナツメちゃんは助けますよ!
このまま終わりになんてさせるもんか!(ゴゴゴゴゴ)

ia.様>一応幽霊関係なので、こういった場面も……。
閻魔様をカッコよく書くのがひそかな目標だったので、ちょっと満足です、はい。

鈴藤 由愛
2008/08/27 23:38
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