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zoom RSS あたしと魔法の皿〜ほっぺた押さえて!編〜

<<   作成日時 : 2008/04/29 21:51   >>

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家の食器棚を整理していたら、奥から汚い皿が出て来た。
茶色い汚れがべったり張り付いていて、正直あまり触りたくない。

でも、手頃な大きさで重宝しそう。
捨てるなんて、ちょっともったいない。

あたしは、取りあえずつけ置きしようと流し台の前に立ってから、こないだとある店のオープン記念にもらった粗品のことを思い出した。

確か、水だけで頑固な汚れもよく落ちる、というスポンジみたいなやつだ。

いい機会だ、使ってやろう。

ポンジを濡らして軽く絞ってからこすってみる。

すると、ぺったり張り付いていた茶色い汚れが取れてきた。

すごいなあ、現代の科学。

ひそかに感動していたら、いきなり、もくもくもくもくと白い煙が立ち上った。

えっ? 何よ、火事?

驚いて動けずにいると、煙の中から大男が現れた。

「お呼びでございますか、ご主人様」

大男は、あたしに向かってうやうやしくお辞儀をする。

「あ、あんた誰よっ」

「私は皿の魔神でございます。何なりとご用をお申しつけください」

……開いた口がふさがらない。

皿の魔神って。
アラビアンナイトに出て来るランプの魔神じゃあるまいし。

でも、願い事をかなえてくれるみたいだし……。

「ねえ、どんな願い事でも叶えてくれるの?」

あたしは試しに聞いてみた。

「もちろんでございます」

それじゃあ早速、願い事を叶えてもらおうじゃないの。

「じゃあ、あたし、美味しいオムライスが食べたい! お腹いっぱい、ほっぺたが落ちるぐらい美味しいの! 今すぐ食べたい!」

笑いたい奴は笑え。
あたしは今給料日三日前で、怒涛の節約モード突入中なのだ。
特に食費を切り詰めてるから、とにかくもう、欲望のおもむくまま食べたくてしょうがない。
大好物のオムライスがお腹いっぱい食べられるなら、本望だ。

「お安い御用です」

突然、ばふん、と煙が全身を覆った。
あまりに煙が濃いので、しばらくは何も見えなかった。
しばらくして煙が消え去ると、あたしの前に、大きなオムライスが置かれていた。

「いただきまーすっ」

早速食べてみると、ふんわりした玉子の食感と、中身のチキンライスが絡み合って、舌の上に絶妙な味わいを発生させる。
これは美味しい。
今まで食べたどのオムライスよりも、美味しい!

「おいしいっ」

そう言った瞬間だった。

ぼとっ、と何かが床に落ちた。
それと同時に、顔に激痛が走る。

あたしはオムライスの皿を投げ出して、顔を……正確には両頬を押さえた。
ぬるりとした生暖かい液体が、指に絡み付く。

痛い、痛い、火がついたみたいに痛い。

涙のにじんだ視界に、床の上に染みを広げる赤黒い塊が映った。

あたしは、何となく悟った。


あたしの――ほっぺたの肉だ。

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
ふふふ。これが1番面白い。オムライス、食べたくなりました。でも痛いのは嫌だなあ。
一度に3つのアップでびっくりしました。わたしだったら「書けない時」用に2つはストックだ〜。由愛さん、太っ腹!
つる
2008/04/29 23:25
最後はホラー。やっぱり由愛さん。
オムライスが食べられなくなるじゃないかー!
ia.
2008/04/29 23:47
感想ありがとうございます。

つる様>書けるうちに書いてさっさとアップ! が私のスタンスです。
だって、取っておくと油断して、筆が止まるんだもの。
「次はねえんだよ早く書けオラオラ」と常に自分を追いこんでます。

ia.様>どうしても、やっぱりホラーやっちゃうんですね、私。
心霊系駄目なくせに、ねぇ。
トイレ行けなくなったりするのに、ねぇ。
オムライスの赤いケチャップが、今後は(以下略

よろしければ、またおいで下さいませ。
鈴藤由愛
2008/04/30 23:09
あっ! シリーズ化してる!!
これからオムライス食べるたびにケチャップが別の物に見えそうです(;;

2008/05/04 15:51
感想ありがとうございます。
うっかり四回書きました、このシリーズ。
今後は未定ですが。
うーん、困りましたね<ケチャップ〜
じゃあ、ケチャップではなく塩かけて食べるのはどうでしょう。
……駄目ですか、駄目ですね。

よろしければ、またおいで下さいませ。
鈴藤由愛
2008/05/04 21:12
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