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<<   作成日時 : 2008/03/13 22:01   >>

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「ねえ、赤いレインコートの男の話、知ってる?」

学校帰り、友達のサチがそう言い出した。
またか。
私は、顔には出さないけど、うんざりした。
サチは、このテの話が大好きなのだ。
私はそういうの、好きじゃない。
うっかり聞いちゃった日の夜は、お風呂に入るのもトイレに行くのも怖いぐらいだ。
だから、正直、サチのこの趣味だけには付き合いたくない。

「い、いい。私、怖い話好きじゃないし」

私はそう言って断ったけど、

「あのね、これ、ホントにあった話なの。雨の降る日に起きたことなんだけど……」

サチはおかまいなしに話し始めた。
ああ、サチの悪いクセが出た。
サチは、自分のホラー趣味に突っ走るあまり、相手の反応とかがわからなくなっちゃうのだ。

「いいってば、もう。私、そういう話興味ないし」

「ノボル君っていう男の子が、学校帰り、児童公園のトイレに入ったの。トイレの中には誰もいなくて、ノボル君一人だったのね。ところが、ノボル君が用を足してトイレを出ようとすると、個室の2番目から、突然赤いレインコートを着た男が!」

な、なんとかして、サチを止めなきゃ。
これ以上聞いたら今夜またビクビクして過ごさなきゃいけなくなる!

ええと、ええと。

「男はノボル君を捕まえると、ナイフでざくざくざくざく刺しまくって、殺しちゃったの。男が立ち去った後、トイレにやってきた人が見たのは、何とも言えない恐ろしい表情をした、ノボル君の死体……」

その時、私の頭の中でピコンとひらめいた。

「はいはーい、サチ先生、その話おかしいと思いまーす」

「何がよ?」

「あのさ、ノボル君は死んじゃったんでしょ? で、そのトイレにはノボル君以外誰もいなかったと」

「そうよ」

「じゃあ、目撃者はいないってことよね? となると、ノボル君が赤いレインコートの男に襲われて死んだって事、他の人はわからないんじゃない? それ、『ホントにあった話』とは呼べないと思うの」

私の言葉に、サチがきょとんとする。
ふふん。 まいったか。
私だって、ただいたずらに恐怖に怯えるだけじゃないのよ。

なんて、私が優越感にひたっていると。


「だって、あたし見てたもん」


きょとんとしていたサチが、ぽつん、とつぶやいた。

……へ?

サチ、アンタ今何て言った?

固まる私を尻目に、サチがケータイを取り出して、何やらカチカチボタンを押すと、ずい、と目の前に突きつけてきた。


「ほら、証拠。ケータイで撮ったムービーだから、途中でとぎれてるけど、ばっちり撮れてるわよ」

ケータイの小さな液晶の中で、小学生ぐらいの男の子が、わあわあ叫びながら赤いレインコートの男に刺されて、刺されて、だんだん、声が、小さく、低く、なって……。

「いや〜、こんなとこに遭遇するなんて、一生に一度あるかないかだもんね。あたしの存在バレないように、声出さないでじっと隠れてるの、大変だったんだからぁ。ホントは死体を間近で撮れたら最高だったけど、人が来ちゃったもんね。惜しかったなぁ、撮れるまで、しばらく張り込みしようかな」


……サチ。


私、さっき聞かされた赤いレインコートの男の話より、今目の前にいるアンタの方が、ずっと、怖い。


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タイトル (本文) ブログ名/日時
「ある夫婦の会話」
「ただいまー」 「おかえりなさい」 「遅くなってすまんな。あ、今日はお土産はないよ」 「いいのよ、そんな。ハイ、早く上着を脱いで」 「そうだ。朝、言うの忘れてたけど、タローくんにエサはやってくれたかい?」 「ええ、ちゃんとあげたわよ。どうも食欲があまりな.. ...続きを見る
ショートショート風呂。
2008/03/23 10:49

コメント(16件)

内 容 ニックネーム/日時
お、けっこうブラックな話だわ。
このお話の「私」と「サチ」の年齢は書いてないけど小学生くらいですかね。これを読んで「スタンドバイミー」を思い出しました。子どもって「死」に興味があるんですよね。興味があるから、素直に口にするだけなのに、大人は眉をひそめるというか。なんかそんなこと思いました。
この話からそれて関係ない話でごめんなさい。
つる
2008/03/14 00:49
コワイ〜!トイレに行けなくなる〜!
「赤いレインコートの男」は都市伝説の類ですよね。私は主人公と違って、怖がりのくせに、こういう話が大好きです。
でも、このオチは怖いなぁ「だって、あたし見てたもん」の後の間がコワイ。
都市伝説の変形は聞いたことがあるけど、その中で一番怖かったです。
ia.
2008/03/14 01:07
うぅ……怖い……。
直接、殺人に手を貸さなくてもこういうのって罪になるんですよね。
サチの狂っている様子がほんとに怖い。

あと赤いレインコートの男って、逃げる時に目立ちすぎじゃないかな? 返り血を浴びたときのためのカモフラージュ?
七花
2008/03/15 01:06
感想ありがとうございます。

つる様>子供の時って、そういうタブーに触れる話に興味持ちますよね。
そういえば、高校の時、スプラッタ好きな美少女が同じ部活にいましたよ。
あのビデオには本物の死体が映ってるんだってー!とか喜々として話してましたわ(遠い目)
ちなみに、「私」とサチは中高生ぐらいをイメージしてますが、会話がちと幼いですかね。

ia.様>都市伝説って、怖くないのとめちゃくちゃ怖いの両極端ですよね。
私も怖がりなくせに怖い話好き人間です。
後で思い出してビクビクするんですが、髪を洗う時が一番怖くてしょうがないです。
目開けてシャンプーするわけにもいかないし。

七花様>赤いレインコートなのは都市伝説っぽさを狙ってのことです。
そういや目立ちますね、男がそんなもの着てたら。
その辺あまり深く考えずに書いたので、今回リアリティのない話になっちまいました。
うーん、精進します。

よろしければ、またおいでくださいませ。
鈴藤由愛
2008/03/15 19:51
怖い話なのになんか、笑ってしまいました。サチちゃんの度胸すごいなと。将来電車のわずかな隙間を埋めるおばさんになりそうです。
neon1914
2008/03/17 13:49
感想ありがとうございます。
ある意味、サチの度胸は凄いですよね。
私がそんな場面に出くわしたら、間違いなく絶叫してますよ。

よろしければ、またおいで下さいませ。
鈴藤由愛
2008/03/18 07:07
由愛さん、お暇なときでいいので後で見に来てください。
ブログに由愛さんのお名前を書かせてもらいました。
http://meisounote.blog122.fc2.com/blog-entry-67.html
七花
2008/03/21 00:24
何とっ。それはさっそく拝見しに行かなければ!
何て書いてあるんだろ(ドキドキ)
いざ!
鈴藤由愛
2008/03/21 18:27
エグイお話なのでビックリしました(笑)僕もこのネタを使わせていただきました。いちおうご報告しておきます^^ 
レイバック
2008/03/23 10:52
感想ありがとうございます。

赤いレインコートの男がそちらにも!
うむむ……恐るべし。
さっそく追いかけに行かなくちゃ。

よろしければ、またおいで下さいませ。

鈴藤由愛
2008/03/23 18:20
初めまして! けビンと申します。
レイバックさんの企画があったときにコメントを忘れたマヌケな男と覚えて下さい。汗

都市伝説の半分(怖いほうの伝説)は、死に対しての感覚にズレから生まれるのかもしれませんね。
ブログを渡り歩く赤いレインコートの男。もしかすると、新しい都市伝説に…なったらイヤだな。
なぜなら私、超(×50)怖がりなんです。汗
けビン
2008/03/25 01:11
初めまして、ようこそ。

気にしないで下さい。
私も全ての方にコメントをしたわけじゃありませんし。

次々とブログを渡り歩く赤いレインコートの男……伝言ゲームみたいに、最後の辺りになったらエライことになってそうな。
こんな話書いておいて何ですが、私、幽霊とか「もののけ」とかが出て来る話はダメです。
トイレに行くのも怖いしシャンプーで目を閉じるのも怖くなります。
ただ、人間が犯人という手合いの怖い話は、大好きです。
……矛盾?

よろしければ、またおいで下さいませ。
鈴藤由愛
2008/03/25 07:30
発見!
不思議な流行源はここか!?
こんばんは。お久しデス。

なるほど。きっとサチは目をキラキラさせてるんだろうなぁ(笑)
面白かったです。
火群
2008/03/26 03:06
感想ありがとうございます。
流行だなんて、そんな。
なんて恐ろしい流行なんだ。
サチは無邪気ですよ。怖いですが、本人まったく自覚ナシ。

よろしければ、またおいで下さいませ。
鈴藤由愛
2008/03/26 13:56
こんばんは。
赤いレインコートの男、私のブログでも使わせて頂きました。
報告が遅くなりましたことをお許し下さい。m(_ _;)m

流行してますね。確かに怖い流行だ。汗
火群さんがコミカルに仕上げられたのが救い!? 笑
けビン
2008/03/29 00:33
おお、それは早速見に行かねば!
後ほど遊びに行かせてもらいますね。
しかし、今どこまで行ってるんだろ、赤いレインコートの男。
鈴藤由愛
2008/03/29 07:47
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