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zoom RSS 光のもたらすもの

<<   作成日時 : 2008/01/18 21:57   >>

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夕飯を食べにおいでよ、と誘われて、その日の夜、友達の家に行った。

着いてみて唖然とした。
色とりどり、きれいなイルミネーションがキラキラ点滅しながら輝いていたから。
家の壁や窓枠にも飾り付けられているし、庭の木なんか、光輝く実がなっているみたいに丸い発光体がぶら下げられている。

うーん、凝ってるなあ。

ただ……残念なのが今は一月の末だってこと。
クリスマスなんか、とっくに終わってる。
年まで明けちゃってる。

クリスマスだったら、もっと素直に感動できたのに……。
それとも、クリスマスに飾り付けておいたのがもったなくて、片付けられないでいるのかな?

そんなことを思いつつインターホンを押すと、友達が出迎えてくれた。

家の中に入ってびっくりした。
暗いのだ。
蛍光灯が全然ついてなくて、所々に置かれたキャンドルがぼんやりした明かりを放ってる。

クリスマスだったら、素敵な雰囲気だ。
そう、クリスマスなら。
でも今は一月の末。

これじゃあ、季節感もへったくれもない。

「どうしたって言うのよ。まだクリスマス気分に浸ってるの?」

私が言うと、友達は手をパタパタ振った。

「違うわよ。実はね、クリスマスの時にイルミネーションの飾りつけをしたら、なんかハマっちゃってさ。今、わたしの中でブームなんだよねぇ」

趣味になっちゃったってのかい!

まあ、そう言われてみると、イルミネーションの中に、クリスマス色の強いサンタやトナカイやモミの木が見当たらないなあ。

「でも、何で家の中こんなに暗いの?」

「だって、外のイルミネーション、結構電気食うんだもん。今どっかの電気使ったらバチーンッてブレーカー落ちちゃうわよ」

家の中の電気を犠牲にしてまでのめり込むとは……。

「暗いと不便じゃない?」

「ん。慣れれば大丈夫よ」

楽しそうに笑う彼女に、私はもう何も言えなかった。
……いや、ただ呆れてものが言えなかっただけだけど。

「それじゃ、ダイニングで座って待っててよ。お料理持ってくるから」

「う、うん」

その時、突然、バシュウッという音がしたかと思うと、窓の外から強烈な光が突き刺さってきた。

な、何だ、何だ?

私と友達は窓に近付いて、おそるおそる外の様子をうかがった。

「うわっ」

思わず腰を抜かした。

だって、窓の外には……なんと、巨大な円盤が着陸していたから!

あわわわ、私、夢でも見てるのかしら?

見ていると、円盤の中からタコだかクラゲだかわかんないのが出てきて、触手みたいなものをひらひらさせ始めた。

「ちょっと〜、何よあれ」
「分かんないわよ。聞かないで」
「……何しに来たのかなあ」
「うーん……地球侵略とか?」
「ええええっ!」

なんて、私達が話していると。

壁の中から、うにょお〜っと青白い物が生えてきた。

「きゃーっ!」

びっくりして反対側の壁に張り付く私達。

息を殺して見ていると、壁の中から出てきたのは、さっき見た宇宙人だった。

「一体どうしたのです?」

宇宙人が話しかけてきた。
テレパシーとか、そういう特殊な能力はないみたいで、口っぽい穴から声が出てる。
……てか、一体どうしたのですか、って、そりゃこっちの台詞だ。

「い、いえ。何でもありません」

何でもないから早く帰ってください。

「ところで、何事ですか?」

「へ?」

この宇宙人、何が言いたいんだろう?

「先ほどこの星の近くを通りがかったら、緊急事態発生を告げる光信号が送られていたので、発信元を探して駆け付けたのですが……」

宇宙人の言葉に、顔を見合わせる私達。

光信号……って、もしかして。

「あの……もしかして信号って、外でチカチカ光ってるアレですか?」

私がおずおず片手を上げてイルミネーションを指差してみると、

「はい、アレですよ」

宇宙人は触手を一本伸ばして、窓の外を指し示した。
その先には、案の定、イルミネーション。

やっぱりかー!

「あ……あの、非常に言いにくいんですけど」

友達がガチガチに固まりながら発言する。

しょうがないよね。
だって、説明の仕方によっちゃ、地球の危機に発展しかねないもの……。

「何でしょう?」

「違うんです」

「は?」

「だ、だから……アレは別に緊急事態発生の光信号とかじゃなくて……ただの飾り、なんです」

友達が緊張しながら説明すると、宇宙人は体の色を薄暗く変えて触手をぶるぶる震わせた。

「なんですって? 紛らわしいことはやめなさい。我々は急いでいるところを無理して来たのですよ!」

宇宙人が怒ってる。
ああ、怒ると体の色が変わるんだ……って、それどころじゃない!

「す、すみません……知らなかったんです」

友達が申し訳なさそうに頭を下げる。

「わざとじゃないんです、許してください」

私も続けて頭を下げる。

「まったく……いいですか、二度とこのような紛らわしいことをしないでくださいよ。地球人はその辺の知識に乏しくて困りますねえ。そのうえ異星間交流は持たないし、自分で自分の星をめちゃくちゃにするし……本当に困ったものですよ」

あ、あはは。
宇宙人に説教されちゃった……。

宇宙人がぶつくさ言いつつ戻った巨大な円盤は、バシュウッと空の彼方へ飛び去って行った。


飛び去って行った方角をぼんやり見つめながら、私は思った。

あの宇宙人の言葉から察するに、地球人って他の星じゃ評判良くないみたいだけど……今回のせいで、地球人の悪評がさらに広まるんだろうな……。

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