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zoom RSS ベッドの下に……

<<   作成日時 : 2007/06/20 22:43   >>

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あたしは、彼氏のユウジの部屋に遊びに行った。

突然何の連絡もナシで行ったから、ユウジはすごくビックリしてたけど、同じぐらい嬉しかったみたいで、笑って部屋に入れてくれた。
で……二人でお喋りしたりゲームしたりしてるうちに、夜になって。
「そろそろ帰るね」って言ったあたしに、ユウジが「泊まってけよ」ってそう言ってくれた。

そ、それって!
も、も、もしかして、それってもしかして!
きゃー!

なんて、シャワーを浴びてるユウジを待ってる間、一人で盛り上がってたら、いじってた指輪、落としちゃった。
指輪は床に落ちた後、はねてどこかに転がって行っちゃった。

えぇ〜、あれ、ユウジに初めて買ってもらった、思い出の指輪なのにぃ〜!

あたしは、床にへばりつくみたいにして、指輪を探した。
……でも、なかなか見つからない。
ああ、どうしよう。
プレゼントした指輪がなくなっちゃった、なんて知ったら、ユウジ、きっとがっかりするよね……?
嫌われちゃうかな。
最悪、別れることになったりして?

うわわ、そんなの嫌!

ちょっと涙目になりつつ探していたら、ふと、ベッドの下に目がいった。
なんとなく、何かの気配を感じたっていうか、何かいるなっていう存在感を感じたわけ。
一体なんだろう?
あたしは、ちょっと好奇心がわいて、のぞきこんでみた。

……何、これ。

あたしがのぞきこんだベッドの下。
そこには確かに、生きてるものがいたわ。
だって、のぞきこんだあたしと、ばっちり目が合ったもの。
それもね、猫とか犬とかの目じゃないの。
ベッドの下からこっちを見ていたのは、間違いなく人間の目だった。

どうして、ベッドの下に人間がいるの……?

あたし、どうしたらいいのか、わからなかった。
いきなり大声出したら、相手がどういう行動に出るか想像もできないし。

だから、あたし、ユウジにこう言ったの。

「あたし、アイス食べたくなっちゃった。コンビニ行こうよ」

ユウジは、案の定、何言ってんだ、って顔をした。
でも、あたしがしつこくコンビニ行きたいって言い続けたら、渋々オッケーしてくれた。
あたしは、ごく自然な感じでユウジを連れて部屋を出た。
もちろん、ドアを閉めて、部屋のある階から出る、その一瞬まで、気を抜かなかった。

そのせいか、なんだかすごく疲れちゃって。
マンションを出たら、ふーってため息ついちゃった。

「ほら、コンビニ行くんだろ。ボサッとしてんな」

ユウジが、あたしの肩をぽんぽん、と叩く。
あたしは、ユウジの顔を、まっすぐに見た。

「ユウジ」
「なんだ?」

ユウジは、のほほんとした顔であたしを見つめ返す。
――あたしの気も知らないで。

「あのさ。あたし、さっき、ユウジの部屋でさ、見ちゃったんだ」
「……何を?」

あたしの口調にただならぬものを感じたのか、ユウジは真剣な顔つきになる。

「ベッドの下に人がいたの。あたし、見ちゃったんだ。目が合っちゃった」

はっきりとそう言うと、ユウジの顔色は、みるみるうちに真っ青になった。
人間の顔色って、こんなにわかりやすく変わるんだ……なんて、どうでもいいことを考えるほど、あたしは落ちついていた。

「ねぇ、ユウジ」

あたしは、ユウジに向かって手を伸ばす。
そっと、捕まえるように。

そして……あたしは、ユウジの胸倉を掴むと、乱暴に引き倒した。


「浮気してんじゃねえよ、ボケェ!」


あたしの膝蹴りが、ユウジの腹に突き刺さる。

さっきのぞきこんだ、ベッドの下。
そこにいたのは、ただの人間じゃなかった。
……と言っても、どこかで聞いたような、鎌やら何やらを持ったアブナイ奴じゃない。
あたしが見たのは、下着姿の女の子だった。
ベッド下の狭いスペースから、悔しい感情を隠しもしない、それはそれはおっかない表情で、あたしのことを睨んでいたのだ。

部屋の中で修羅場、なんてのはゴメンだから、ユウジを外に連れ出したわけなんだけど……こいつ、あの子をどうやって帰すつもりだったんだろうか。
……あたしがシャワーを浴びてる間にでも、こっそり帰すつもりだったんだろうか。

――最低。

腹を押さえてうずくまったままのユウジを、あたしはひたすら冷たく見下ろした。

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