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zoom RSS どいつに助けられたい?

<<   作成日時 : 2007/02/08 22:49   >>

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道を歩いていたら、いきなり数人のガリガリな……たぶん男だと思う……怪しい連中に取り囲まれた。
全身を黒タイツで包み、変な仮面をつけた彼らは、「キーッ」だか「ギーッ」だか、妙な声を出しながら、私を囲む輪をジリジリ狭めてきた。

「ちょ、ちょっと! 何なんですか、あなた達は!」

警戒して後ずさりながら、何かのイタズラかと思ってカメラを探したが、そんなものは見当たらなかった。

「きゃーっ!」

ジタバタする暇もなく、私は彼らに捕まってしまった。
彼らは米俵のように私を担ぐと、物凄い速度でその場を走り出した。

「きゃーっ! 誰かぁ! 誰か助けてぇ! いやぁー! きゃーっ! きゃーっ! ヘンタイ、ばかばかばかーっっ!」

恐怖で混乱した私は、やみくもに大声を出しまくった。

「待て!」

何人かの男の人の声が同時に言った。
私を担いでいた連中の動きが止まる。
やった、助けが来た!
私は声のした方に顔を向けた。

特撮のヒーローっぽい人。
お侍さん。
酒くさそうなガンマン。
子供向けアニメのヒーローっぽいやつ。
上半身裸のマッチョ男。
メガネをかけて黒いマントを羽織った学生服の少年。

……あの、普通の人が一人もいないんですけど。

「若い女になんてうらやま……いやいや、酷い扱いをするんだ! このクサレ野郎!」

特撮のヒーローっぽい人がそう言えば。

「天と地に変わって仕置をいたす。覚悟いたせ」

お侍さんは静かに刀を抜いてかまえる。

「ひゃーはは、的がこんなにいやがるぜ! 全員ぶち当ててやるぁああ!」

携帯用のボトルに入れたブランデーをちびちびと飲みながら、ガンマンが銃口をうろうろさせる。

「ダメだよ、まずは話し合いをしなくちゃ! みんな分かりあえるよ!」

子供向けアニメのヒーローっぽいやつが必死に皆に向かって呼びかける。

「馬鹿者! 力こそ正義だ! まずは倒すことが先決である!」

上半身裸のマッチョがごつい拳をにぎりしめ、野太い声で野獣のように吠える。

「これだからマッチョは困ります。弱点を突いて速やかに倒すのが一番良いのです。その方が被害も少ない」

メガネをくいっと指先で持ち上げて、少年がぽつりと呟く。


それぞれ、好き勝手なことを言ってる……。
私を担いでいる奴らは、どいつを警戒したら良いのかわからないらしく、まごまごしていた。


「あなたは、この僕を軟弱者呼ばわりするつもりですか」
「当然! 軟弱だから敵の弱点を突くという、こざかしい方法を取るのだ。愚かしい」
「あなたのやり方はただの力押し。策略も何もなくむやみに突っ込むのでは、いずれ勝機を失いますよ。まあ、あなたの場合、脳みそまで筋肉なのでしょうね」
「こ……ガキめ、歯を食いしばれ!」

そのうち、マッチョと少年の間で険悪な空気が流れ始めた。

「ケンカはやめて! みんな仲良くしなきゃダメだよ!」

それを必死に止めようと、子供向けアニメのヒーローっぽいやつが間に立って話しかけている。

「あ、君。助けたら俺とデートしてね」

……かと思ったら、特撮のヒーローっぽい人がウィンクを投げてくる。

「どうした、遠慮は要らぬ。かかってくるがいい」
「ひゃーはは! 撃つぜ撃つぜ撃つぜ撃つぜ撃つぜ撃つぜえぇ!」

あとの二人はそれぞれマイペース。


……私は、米俵よろしく担ぎ上げられたまま、がっくりとうなだれた。

誰でも良いから、早く助けて……。

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