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<<   作成日時 : 2007/01/06 22:53   >>

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友達と遊んでて、帰りがいつもより遅くなった。

私の家はルーズだから門限なんて特に無いけど、さすがにこの時間じゃ怒られちゃうなあ。
あぁ、うちのお父さん、滅多に怒らないから「優しくて大人しいお父さん」なんて言われてるけど、本気で怒るとすっごく怖いんだよなぁ。
そんなこと考えて憂鬱になりながら歩いてると、前の方にうずくまってる男の人がいた。
よく見ると、うずくまってるのじゃなく、なんだか四つん這いになった感じで何かやってる。

具合でも悪いのかな?
声かけた方が良いかな?

「あの……?」

そ〜っと声をかけてみると、男の人の体がビクッと動いた。

「あ!動かないで!」
「へ?」
「コンタクト落としちゃって、今探してるんです」

すごく必死な声。
あっちゃ〜、面倒なトコに出くわしたぞ。

「あの……何か踏んづけたりしませんでした?」

四つん這いの状態でアスファルトに顔をぐっと近づけながら、男の人が言う。

「えぇと……たぶん踏んでないと思います」
「あぁ、良かった」

男の人は、また道路に這いつくばって慎重に捜し始めた。
コンタクト落としちゃったのかぁ……。
このまま歩いて帰るなんて、ちょっとできないよなぁ……。
うっかり踏んづけちゃったら、取り返しつかないし……。

「あの……手伝います」

何だか見ていて可哀想だったので、私は探すのを手伝うことにした。

「えっ、そんな、悪いですよ」
「いいんです、間違って踏んづけちゃったら大変だし」
「……すみません、じゃあ、お願いします」

私も同じようにアスファルトに顔を近付けて、慎重に探し始めた。
実を言うと、コンタクトを探すのなんて初めてだから……あんまり役に立たないよなぁ、きっと。


「あった! ありました!」


探し始めてしばらくした後、男の人が声を上げた。

「良かったですね。見付かって」

私は、思わず近寄った。

「えぇ、一緒に探してくださってありがとうございます」

男の人は、何度も頭を下げてお礼を言った。

「そんな、私は何も……」

私は、慌てて両手で止めようとした。
だって、私は結局、何もしてないんだから。
落としたコンタクトは、男の人が自分で見つけちゃったんだし。
男の人はコンタクトの汚れを取ると、左目に入れて何度か瞬きした。

「あぁ、良かった……ちゃんと見える」

あ、今頃気付いたけど、この人結構カッコいい。
派手で目立つ感じじゃないけど、顔立ち自体はバランスが整ってる。

「本当にありがとうございます。お陰で助かりました」
「いえ……あ、私はこれで」

私は、男の人に会釈すると、また歩き出した。
今日は良いことしたなぁ。
……もしかして、またどこかでバッタリ出会ったりして。
その時は……ちょっと、知り合いになれるように話とかしようかな。なんてね。

「あぁ良かった……僕、これでやっと」

不意に、真後ろで気配が動いた。
ん? と振り向こうとして……私の首に、何かが巻き付いた。
巻き付いた何かは、恐ろしい速さで私の喉元を絞め上げた。
何が何だかわからないまま身をよじると、間近にさっきの男の人の顔があった。

「これで、やっと、人を殺せる」

彼の目は、既に狂っていた。

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